1. 航空宇宙産業の整備士
ヴェイガの情報によると、ソフトウェアエンジニアやITスペシャリストとして働いていた者たちのあいだで、航空機のメンテナンス要員や、航空宇宙産業の整備士に転身する動きがみられるという。このセクターは並外れて雇用安定性が高く、年収中央値は8万~12万ドル(約1200万~1800万円)に達するとのことだ。
ヴェイガによれば、専門職に就いていた者の多くが、米連邦航空局(FAA)の認定資格を、最短で1年半ほどで取得しているという。この資格を取れば、安定した雇用の見込みが立つ、専門性の高い分野に足を踏み入れることが可能になる。
ヴェイガはその例として、グーグルに勤務していたエンジニアが、トレーニングを受けて航空機専門家として再出発し、今では商用ジェット機のメンテナンス業務で10万ドル(約1500万円)超の収入を得ているケースを挙げた。この職種への転身で得られる可能性がある金銭面でのメリットを示す事例だ。
2. 熟練技術者(空調、電気、配管、溶接)
ヴェイガは、現時点でも自動化の影響を免れている職種として熟練技術者を挙げ、職を失ったテック系労働者にとっても、最も不況に強いキャリアの1つだと指摘した。
空調の修理や電気工事、配管工事、産業系の溶接業務は、熟練技術者の中でも特に需要が高い状態が続いている。なかでも、経験が豊富なプロの職人であれば、10万ドル(約1500万円)超を稼ぐケースもしばしばだ。
ヴェイガは、クラウドエンジニアから空調の修理工に転身し、以前の仕事よりも安定した収入と雇用を手に入れたケースを挙げた。
3. サイバーセキュリティと、AIを活用した詐欺防御
AIを悪用したサイバー攻撃の脅威が高まっていることから、サイバー攻撃を検知・予防し、その影響を抑止するサイバーセキュリティ専門家への需要が増えていると、ヴェイガは解説する。「サイバー犯罪が増加していることから、金融や医療業界、政府機関は、AIセキュリティや詐欺行為の検知、ネットワークの防衛に関する専門知識を備えたプロフェッショナルを積極的に採用している」
さらに同氏によれば、サイバーセキュリティ分野では、年収平均が12万ドル(約1800万円)以上と高止まりしており、従来のテック系の職種を上回っているという。
4. アダルトエンターテインメント業界のテック責任者
アダルトエンターテインメント業界は、あらゆる分野の中でも最も意外な転身先かもしれない。ヴェイガの説明によれば、これはテック系セクターの中でも、最も安定したITポストの1つだという。「大手のコンテンツプラットフォームには、高度なサイバーセキュリティ、AIを用いたコンテンツモデレーション、クラウドインフラ管理の体制が不可欠だ。そのため、経験豊富なITプロフェッショナルには堅調な需要がある」
アダルトコンテンツの配信サーバーを管理する業務に就いたある元ソフトウェアエンジニアのケースでは、非常に安定していて、なおかつ報酬も良いリモートITキャリアを築けているという。