国内

2025.02.14 08:30

国内スタートアップの出口戦略が多様化、M&Aやセカンダリー取引が活発に

国内の成長産業及びスタートアップに関する幅広い情報を集約・整理し、検索可能にした情報プラットフォーム「STARTUP DB」は2月13日、「【2024年 年間】国内スタートアップ投資動向レポート」を公表した。国内スタートアップエコシステム全体の資金調達トレンドから、エクイティなど調達手法別の傾向、それにIPO・M&AなどのEXIT状況などを俯瞰し、数字とともに浮き彫りにしたもの。本記事では、同レポートをもとに、スタートアップの出口戦略に焦点を当て、IPOやM&Aの概況について解説する。


1. EXIT 概況

1-1.スタートアップEXIT件数の推移


2024年のスタートアップのIPOは61件で、低調な状態が続いている。一方で、スタートアップの買収の件数は年々増えており、24年は178件(前年比32.8%増)で大幅に伸びた。
 
M&Aやセカンダリー取引の活発化により、出口戦略としてIPO以外の選択肢が広がった。背景には、IPO市場の低迷や資金の流動性確保の問題などがある。
 
M&Aにおいては、大企業がオープンイノベーションを加速させる手段として、スタートアップを買収するケースが増えている。

1-2.主なIPO事例


24年の国内上場組で、初値をもとに計算した時価総額が1000億円を超えたのは2社だった。
 
タイミーは7月に上場し、初値時価総額で1760億円となった。スポットワークという新しい市場を創出し、多くのユーザーを抱えるプラットフォームに成長した。この分野にはメルカリなどの新規参入が相次ぎ、競争が激しくなっていることから、次の一手をどう打つのか注目される。
 
また、6月に上場して初値時価総額が1447億円となったのはスペースデブリ(宇宙ごみ)除去などの軌道上サービスに取り組むアストロスケールホールディングス。25年4月期の最終損益は185億円の赤字(前期は91億8100万円の赤字)を見込むが、持続可能な宇宙利用の実現に向けて今後の成長に期待が高まる。
 
12月に上場して初値時価総額は796億円となったのはSynspective。慶應義塾大学と東京工業大学(現東京科学大学)発スタートアップで、小型SAR衛星の開発・運用からSARデータの販売とソリューションの提供を行う。
 
料理動画アプリなどを手がけるdelyも12月に上場。初値時価総額は413億円だった。delyは18年にヤフー(現LINEヤフー)傘下に入り、事業を拡大して上場にこぎ着けた、いわゆる「スイングバイIPO」として注目を集めた。
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