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2025.02.14 13:30

馬田隆明が考える、イノベーション創出のための6つの課題

2025年、スタートアップに求められるのは、マクロなレンズを用いて解決策を提案する視点だ。東京大学FoundXでスタートアップ支援を行う馬田隆明が、イノベーション創出のヒントを語る。


「サステナビリティ」という単語が耳になじんで久しい。“環境に良いこと”という印象をもつ人も多いようだが、「サステナビリティ」の本来の意味は、「持続可能性」である。2015年に採択されたSDGsにおいても、環境問題や気候変動だけでなく、貧困や健康、教育など、17ものゴールが掲げられている。

「気候変動による猛暑日や不安定化する国際情勢、日本国内の労働力不足など、これまで当然のように続くと思っていた日常や社会が、実は持続困難なことが明るみに出始めています。サステナビリティを“環境に関する持続可能性”と狭義にとらえるのではなく、これから日本は広義のサステナビリティを考える必要が増していくでしょう」

そう語るのは東京大学 FoundXの馬田隆明。2025年のキーワードとして「新時代のサステナビリティ」を挙げる。

ビジネスとイノベーションの領域では、これまでは政策の推進や社会的な合意を背景に、環境問題や気候変動に関心が集まっていた。しかし、これからの新時代には、多様な領域の持続可能性の課題にも目を向ける必要がある。

課題のなかでも、馬田が喫緊で取り組むべきだと考えているのは、安全保障、社会保障、健康、労働力不足、産業構造、気候変動の6領域だ。「この6つのうち、少なくとも2つ以上が重なり合う領域に注目し、私たちの経済や社会、生活を維持可能にするイノベーションを実現していかなくてはなりません」

馬田が挙げた6つの課題は、独立して存在しているのではなく、複雑に重なり絡み合っている。例えば、労働力不足が進行すれば、建築や物流、医療など、社会基盤を維持するために必要な仕事に人材が流れ、次世代に成長をもたらすイノベーションに充てられる人材が減少する。

また、労働力不足は、労働できる世代が減り消費者としての高齢者が相対的に増えることに起因するが、高齢者の増加は社会保障費の増加という課題とも結びついている。ほかにも、気候変動などの影響で農作物が生産できなくなったり、栄養素が減少したりすれば、人々が健康を損ない、社会保障費はさらに拡大していく。
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文=三ツ井香菜 イラストレーション=ムティ

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