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2025.02.01 13:30

ローカルスタートアップと地域活性の条件

metamorworkse / Shutterstock.com

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ヒト・モノ・カネが東京に一極集中するなか、これまで起業が少なかった地域にも変化が起き始めた。同時に、地方創生ファンドの組成など地域へのリスクマネーの供給が盛んになってきたが、新たな課題も生まれている。


国の「スタートアップ育成5か年計画」では、2027年までの5年間でスタートアップへの投資額を8000億円規模から10兆円規模に拡大し、ユニコーン100社、スタートアップ10万社創出を目指す。こうした背景もあり、全国各地で起業の動きが活発化している。帝国データバンクの「新設法人」調査によると、2023年に全国で新設された企業は15万2860社に上り、過去最多を記録した。企業倒産や休廃業、解散の総数に比べても2倍以上多いという。都道府県別では東京都、大阪府など大都市圏での法人設立が多いものの、前年からの増加率は、沖縄県(13.9%増)や秋田県、岩手県(ともに13.7%増)が高かった。沖縄ではインバウンドが回復した観光産業やIT関連での起業が活発だったとみられる。東北地方では地域貢献型のローカルスタートアップを応援するエコシステムが生まれている。

ただ、先述の新設法人は急成長を目指すスタートアップとは限らない。STARTUP DB「2024年 スタートアップ企業で働く人口調査」によると、東京都の68万人に比べると2位の大阪府では4.7万人と大差があり、スタートアップ人材はまだ少ないのが現状だ。割合別に見れば、愛知県が3位に、福岡県が5位にランクインする。

「人材・資金・企画」がカギ

地方創生プロジェクトを手がけるダイブ取締役・トイトマ代表取締役社長の山中哲男は、現場では「人材・資金・企画」のギャップが起きていると指摘する。金融機関やファンド、事業会社など多様なプレイヤーが地域活性のため投資したいとニーズが高まっているものの、適切な対象が見つからず資金余りの状況になっているという。

「地域で起業を志す人は増えていますが、社会的インパクトを求めるものではなく、個人事業主のようなプランも散見されます。投資金額が数百万円規模ではなかなか難しく、より大きな予算感の投資案件を探している関係者からの相談を多く受けます」。山中が大きく地域を変革するため提案するのは、プロジェクトの収益や資産を担保に資金調達する「プロジェクトファイナンス」の考え方だ。

淡路島西海岸の活性化の事例では、「GARB」など飲食店を手がけるバルニバービを主体にSPC(特別目的会社)をつくり、約30億円を集め、19年に1店舗目を開き、今や飲食店が連なる観光スポットに。「大きな絵を描き、ブランディングをしている地域に人は集まります。また自治体の応援も欠かせません。人材・資金・企画にまつわる課題を解決できる人とのつながりをもつエコシステムができれば、地域に挑戦者がもっと増えていくと思います」

文=督あかり

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