AIは、近年の労働市場で起こったどの革命よりも速いスピードで従来の仕事を奪っている。
1900年代初めには工場の自動化によって、何千人もの職人や町工場の労働者の仕事が奪われた。1900年代後半にはATM(自動現金預け払い機)が銀行業界に混乱をもたらし始め、窓口係が一時的に影響を被った。そして、2000年代初めにはeコマースとインターネットの広がりにより、小売業の従事者やビデオ・DVDレンタルチェーンのブロックバスターズ(まだ覚えている人はいるだろうか)のような企業の従業員の多くが、影響を受けた。
今年はまだ第1四半期だというのに、すでにメタは全従業員の約5%、数にして3600人の削減を発表した。最初に解雇されるのは評価の低い従業員だ(AIがもてはやされるようになったのは2022年になってからであることを、よく考えてほしい)。
だが、フォーブスのコントリビューター、ジェイソン・スナイダーは記事で次のように指摘した。
「これは従業員への評価によるものではなく、優先順位を念頭に置いた解雇だ。メタは今回の解雇を、評価の低い従業員を減らす方法と位置づけている。しかし、解雇の対象となった従業員の多くは、『メタが人間の労働よりもAI活用による効率性を優先している』と反論している」
スナイダーはさらに「マーク・ザッカーバーグは『メタの人材のレベルを上げ、人員削減後すぐにAIと機械学習の職務の採用を加速させたい』と公言している。クビ切りは月曜日に始まった。AIを専門とする職務の人材採用が始まったのは、火曜日だ」と書いている。
また、こうした取り組みを進めているのはメタだけではない。他の大企業も同様で、効率性を高め、AIを一層活用するために数千人の従業員を解雇している。
明らかに新たな産業革命ともいえるAI革命のなかで、リストラが進んでいる。
世界経済フォーラム(WEF)のデータでは、AI革命のポジティブな面が示されている。確かに仕事はなくなっているが、ChatGPTが登場する前の2020年のWEFの報告書では、8500万人分の仕事が失われる一方で9700万人分の仕事が生み出されると予測されている。特にデータサイエンス、AI開発とモニタリング、AIと人間の協働といった分野で仕事が創出されるという。
私たちは、産業革命が良い結果をもたらした証拠を目のあたりにしてきた。過去の産業革命では確かに完全になくなった仕事もあるが、代わりに時代や新たな技術、イノベーションの波に最適な職種が生み出された。
AIとロボット革命が同じ結果をもたらすことは、想像に難くない。つまり、AI革命は仕事を奪う一方で、まったく新しい労働市場を生み出すことが予想されるのだ。
2025年、AIに奪われる可能性が最も高い11の仕事
雇用主はすでに2025年以降、事業における優先事項のひとつにAIの導入を挙げている。雇用主の9割が、今後5年間でAI対応のソリューションと生成AIの活用を想定していると回答し、73%がAI人材の採用を優先していると認めている。多くの企業が新しい時代を受け入れるなかで、問題は最もなくなるリスクが高い仕事は何かということだ。
これは、多くの労働者がいちばん気にしている重要な問いだ。米シンクタンクのピュー研究所が、米国で専門職に就く5000人以上を対象に行った最新の調査によると、52%が自分の仕事にAIがどのような影響を与えるかを懸念している。