1-3.主な買収事例

買収される側のスタートアップの買収額などをもとにしたM&Aの注目事例は以下の通り。
・fundbook 買収元:チェンジホールディングス
M&A特化型システム「fundbook cloud」など、M&Aを加速するプラットフォームを提供するスタートアップ。ふるさと納税事業などを手がけるチェンジホールディングスが24年12月に156億円で買収。同年のスタートアップ買収では最高額となった。fundbookの知見を生かし、M&A仲介事業への参入を目指す。
・グッピーズ 買収元:メドレー
医療や介護、福祉業界の人材サービス事業を展開するスタートアップ。メドレーはグッピーズを完全子会社化したことで、国家試験対策アプリや新卒学生向け求人サイトなどを通じて事業の拡大を目指す。
・E4G 買収元:アスエネ
ESG(環境・社会・企業統治)のデータ収集・分析を手がけている東京大学発のスタートアップ。アスエネは同社プラットフォーム上のESGデータと、E4Gで収集・分析した公開データを統合したソリューションを提供していく。
・レバンテ 買収元:MOON-X
植物幹細胞由来成分に着目したスキンケアシリーズ「LITS」などを展開するスタートアップ。MOON-Xは共創型M&Aを通してブランドの成長支援を行うスタートアップで、レバンテとともにヘルス&ビューティケア領域のリーディングブランドを目指していく。
1-4.設立からEXITまでの平均リードタイム

上のグラフは、スタートアップのIPOと買収について、設立からEXITまでの平均リードタイムを過去5年分で整理したもの。24年は、設立からIPOまで平均12年で、設立から買収されるまでは平均9年だった。
現状では、IPOまでのリードタイムが延びる傾向がある。背景には、グロース市場の低迷によって上場後も既存投資家への十分なリターンが期待できないことや、スタートアップが満足のいく資金調達をしにくい状況、さらに過去のハイバリュエーション調達が原因でダウンラウンドのリスクを懸念していることなどがあり、慎重に上場のタイミングを見極めている状況といえる。
このような事情もあり、今後は出口戦略(M&Aやセカンダリー)と成長戦略の手段が、株式や投資家の流動性を高めるといった観点でもより重要になってくるとみられる。