ロシアが起こして3年近くたつ全面戦争で、クプヤンシクは双方にとって主要な攻撃目標あるいは防衛目標となってきた。ロシア軍は2022年2月に侵攻した直後にクプヤンシクを占領した。7カ月後、ウクライナ軍は反攻作戦の過程で90kmほどを一気に突き進む機動を敢行し、クプヤンシクを解放した。
いま、この都市の支配が再び争われている。ロシア軍はハルキウ州から東部のドネツク州に連なる要塞都市群を挟撃するために、クプヤンシクの攻略を狙っている。ウクライナ軍はこの都市を断固として守り抜く姿勢だが、全体で1300km近くにおよぶ戦線で戦力が引き伸ばされている。
クプヤンシクの北でオスキル川西岸を守備しているウクライナ軍部隊は、各数百人程度のわずか3個大隊だ。クプヤンシク自体は、各2000人規模の数個旅団というそれよりはかなり規模の大きい部隊が守っている。
対するロシア軍は、3個師団と5個旅団、総勢数万人の兵力を擁する第1親衛戦車軍をこの方面に配置している。クプヤンシクがこの戦争で2回目の陥落をするのかどうか、するとすればいつになるのかは、この強力な部隊がオスキル川西岸で足場を固められるかどうかにかかっている。
ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は5日の作戦状況リポートで、ロシア軍がクプヤンシクの北で橋頭堡を広げていることに言及したうえで「クプヤンシクを攻略するには、ロシア軍は市の南でもオスキル川を渡る必要があるだろう」と分析している。
ロシア側は大胆な作戦行動を続け、前進を遂げている。オスキル川を渡ったロシア軍部隊は数週間前、クプヤンシクの少し北にあるノボムリンシク村を占領した。ノボムリンシクは昨年12月にウクライナ軍が取り戻していた。