2025.04.16 11:30

小さな電動スーパーカーが「上下逆さまで走行」できることを実証

マクマーティ・スピアリングは2000kgものダウンフォースを発生させることができる。上下逆さまになっても走行できるほどだ。(McMurtry Automotive)

マクマーティ・スピアリングは2000kgものダウンフォースを発生させることができる。上下逆さまになっても走行できるほどだ。(McMurtry Automotive)

モータースポーツのファンたちは、「F1マシンは非常に強力なダウンフォース(負の揚力)を発生させるので、理論上は逆さまになって走ることができるほどだ」ということを言いたがる。

確かに、単純計算では車両がその重量よりも大きなダウンフォースを発生させることができれば、そのとおりになる。だが、現実の世界でこれを証明するのは大変だ。天井が平坦な長いトンネルが必要だし、そのトンネル内で車両が地面から天井に上がれるように、緻密に計算された斜面も必要になる。さらに、車両は上下が逆さまになってもエンジンが(燃料系や潤滑系に問題がなく)きちんと作動していられるように改造しなくてはならない。

小さな自動車を製造している小さな英国の新興企業が、この難題に挑戦した。McMurtry Automotive(マクマーティ・オートモーティブ)社は先日、同社の「Spéirlin(スピアリング)」と名づけられた電気自動車(EV)のプロトタイプが、完全に上下逆さまになっても車輪が路面(逆さまになった状態では天井になる)から離れないだけでなく、その状態で前に進めることを証明して見せた。

要点を手早く説明すると、このスピアリングという車は1人乗りの電動スーパーカーで、独自のファン(扇風機)システムを搭載している。毎分2万3000回転するこのファンが車体の床下に真空状態を生み出すことで、車体を路面に「吸い付ける」という仕組みだ。これに加えて1000馬力もの出力と、わずか1000kgという車両重量により、この車はすでに数々の記録を打ち立てている。

英国グッドウッドのヒルクライムや、米国ラグナセカ・サーキットの名物「コークスクリュー」を逆に上るリバースヒルクライムにおける最速記録を保持しており、今月には英BBCの人気自動車番組「Top Gear(トップギア)」のテストコースで、20年以上も首位に君臨していたルノーF1マシンのラップタイムを20年ぶりに破ったばかりだ。

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翻訳=日下部博一

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