「逆走」世界最速記録を樹立、クロアチア発の電動ハイパーカー

BUGATTI RIMAC

リマック・ネヴェラという名前を耳にしたことがあるだろうか。このクロアチア発の電動ハイパーカーは、4基のモーターが発生する合計最高出力1914馬力を誇り、今年に入ってからあらゆる速度記録を塗り替えてきた。停止状態から100キロメートル/hまでわずか1.81秒で加速、最高速度は412キロメートル/hに達する。見事なものだという声が聞こえてきそうだ。では、バックで逆走するとどれくらい速いのだろう?

それほど馬鹿げた質問ではない。電気自動車は一般的にギアが1つ(1速)しかないため、理論的には安全システム(あるいは恐怖感)が働かなければ、モーターは前進でも後進でも、同じ速度で車輪を回転させることができるはず。もちろん、車体の空気力学的デザインは、高速で前進することに最適化されているので、間違った方向に疾走することは本意ではないだろう。しかし、4桁の馬力を絞り出すEVなら、逆走してもかなりの高速に達するに違いない。

というわけで、メーカーはそれを確かめることにした。ギネス世界記録の担当者を立ち会わせ、ドイツのパーペンブルク自動車試験場を貸し切り、広大なアスファルトの広場で遊ぶ(あるいは科学の名の下に記録を樹立する)のに好都合な場所を確保した。そしてテストドライバーのゴーラン・ドルンダックを運転席に座らせた。

リバースにギアを入れ、パーキングカメラを作動させたまま、ドルンダックがアクセルを踏み込むと、最高速度は171.34mph(275.74キロメートル/h)に達した。1967年に当時市販車世界最速と言われたランボルギーニ・ミウラが達成した最高速度記録を、リマック・ネヴェラはわずかながら後退で上回ったのだ。

クロアチアのブガッティ・リマックとその電動ハイパーカーのネヴェラは、2023年に20を超える世界記録を打ち立てた。 / BUGATTI RIMACリマック・ネヴェラは、2023年に20を超える世界記録を打ち立てた。 / BUGATTI RIMAC

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翻訳=日下部博一

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