2024年の年間販売台数はテスラ創業以来初めて前年から減少し、マスクの注意力は今、5つの異なる分野の会社の経営やトランプ政権での重要な役職に分散している。その隙を同社のライバルたちは見逃していない。
その中でも注目すべきはゼネラル・モーターズ(GM)だ。デトロイトを拠点とする同社の2024年のEV販売台数は前年比50%増の約11万4000台に達し、過去最高を記録した。この成長を後押ししたのは、テスラのモデルYと競合する新型エクイノックスEVだ。一方、テスラは米国でGMの5倍の約63万台を販売したが、この数字は前年から5.6%減少した。
さらに、イーロン・マスクの物議を醸す言動によって、テスラのブランド力は特に、EV市場が活況を呈するカリフォルニア州で低下している。
GMは、テスラの市場シェアを奪うだけではなく、その中心であるバッテリーにも狙いを定めている。しかも、GMはテスラの元幹部でバッテリー分野に精通した人物を新たに雇用して、同社のEVが最大限の収益性を確保できるよう取り組んでいる。
「すべてはバッテリーから始まる。バッテリーはEVにおける最大のコスト要因であるため、我々はそこに多大な努力を注いでいる」と語るのは、昨年2月からGMのバッテリー担当副社長を務めるカート・ケルティだ。
彼は、11年間テスラに在籍し、初期のロードスター時代からモデル3の量産に至るまでバッテリーパックの開発を手がけた経験を持つ。また、テスラの初期メンバーが設立したバッテリーテクノロジー企業Sila Nanotechnologies(シラ・ナノテクノロジーズ)に6年以上勤務し、テスラの最も重要なバッテリーサプライヤーだったパナソニックでも14年間務めていた。
GMのコスト削減の鍵は、テスラや他の米国自動車メーカーが依存しているリチウムやグラファイト、コバルトなどの加工材料を供給する、中国のバッテリー生産モデルを参考にすることだ。
「私たちは中国で行われていることを再現しようとしている。サプライチェーンを北米に持ち込み、垂直統合を進めようとしている」とケルティはフォーブスに語った。