日本で登録されている乗用車のうち、EVが占める割合は2024年12月時点で約1.7パーセント(日本自動車販売協会連合会調べ)。まだまだ珍しい存在だ。普及の足かせのひとつに、充電設備の問題がある。経済産業省は2030年までに30万口を設置して充電インフラを充実させる指針を示したが、言い換えれば、まだまだ足りないということだ。EVが登場した当初から、それは大きな課題だった。EVが普及すれば充電スタンドも増えるが、充電スタンドが増えなければEVは普及しない。そのジレンマが今も続いている。

地図情報を活用したEVの利便性向上を目指すゼンリンは、EVオーナー400人を対象にEVの利用実態、おもに充電に関するアンケート調査を実施した。それによると、充電頻度はほぼ毎日から月に1〜3回とまちまちだが、比較的多いのが週に2〜3回と週に1回程度だった。意外なことに、自宅で充電する人は少なく(40パーセント)、もっとも多いのが自動車販売店、大型商業施設、高速道路のサービスエリアとなっている。つまり、目的地、またはそこへ行く途中で充電する人が多いということだ。

充電に関する不満を聞くと、やはり充電スタンドの不足がいちばんだった。続いて、充電スピードが遅い、1回の航続可能距離が十分でない、充電スタンドが適切な場所にない、などとなっている。航続距離を重視するなら、大容量バッテリーを搭載した車を選ぶことになるが、容量が大きければそれだけ満充電にするまでの時間は長くなる。なかなか難しい。
また、「充電スタンドが適切な場所にない」というのも気になるところだ。EVでキャンプに行くことを考えると、山の中に充電スタンドがあるのか心配になる。さらに、充電スタンドの不足から生じる「充電渋滞」も不満としてあげられている。そこでは、充電スタンドを譲り合って使う暗黙の「ルール」がある。充電には時間がかかるので、適当なところで切り上げるなどして後の人に気を遣う必要があるのだ。それを負担に感じる人が少なくない。

こうした問題に対処すべく、ゼンリンではカーナビを通じたリアルタイムの充電スタンド情報を提供しているが、同時にユーザーの情報をもとに「適切な場所」に充電スタンドを設置するための協力も行っている。国は2035年までに、販売される新車のすべてを新エネルギー車にする目標を定めている。だがすでにEVに乗っている人たちからは、充電に関する不満が多く聞かれた。こうなったら、EVが先か充電スタンドが先かなどと悠長なことを言っていないで、ばっちりインフラを整備すべきだろう。
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