欧州

2025.01.27 10:30

使用増える「光ファイバードローン」、ロ・ウクライナが対抗技術の開発急ぐ

ウクライナ・キーウ州で2024年12月26日、テスト飛行するウクライナ製の光ファイバー制御型ドローン(Viktor Fridshon/Global Images Ukraine via Getty Images)

ウクライナ・キーウ州で2024年12月26日、テスト飛行するウクライナ製の光ファイバー制御型ドローン(Viktor Fridshon/Global Images Ukraine via Getty Images)

ロシアとウクライナの間で続く戦争では、ドローン(無人機)と対ドローンシステムの技術革新が戦場を特徴づけている。対ドローンシステムの多くは、ドローンを制御する無線信号を妨害(ジャミング)することで機能する。そのため、ロシア軍ウクライナ軍もここへきて、軽量の光ファイバーケーブルを通じて通信する「耐ジャミング」ドローンの使用を増やしている。

このタイプのドローンは、光ファイバーケーブルを巻きつけたスプールが機体に取り付けられていて、発進するとそこからケーブルを繰り出しながら飛んでいく。有線でつながっているので、妨害電波が流れていても操縦士はドローンとの通信接続を維持できる。とはいえ、光ファイバードローンにも固有の弱点があり、ドローンと対ドローンシステムの追いつ追われつの技術競争の延長として、近いうちに両国はそれを利用することになるだろう。

有線ドローンに対抗するうえでの課題は、ジャミングが通用しないこと自体だけではない。ジャミングが効かない以上、双方とも物理的(キネティック)な手法で対抗する必要があるが、こうした物理的な対ドローンシステムの多くは実のところ、ドローンを探知するのに映像フィードなどドローンからの無線信号に依存している。この信号を三角測量して、ドローンの正確な位置を割り出しているのだ。しかし光ファイバードローンの場合、こうしたフィードはケーブルを通じて操縦士側に送信されるので、検出可能な信号が残らない。
光ファイバー制御ドローンは無線シグネチャーによっては探知できないが、探知方法はほかにもある。米メディア、Business Insiderの最近の記事によれば、ウクライナのKara Dag(カラダフ)社は音響シグネチャーと視覚シグネチャーを利用し、高度な処理技術を組み合わせた探知方法を開発している。いったん探知できれば、ウクライナ側はそのドローンに物理的な手法で対抗できる。

他方、ロシアの産業貿易省は、光ファイバー制御ドローンを探知・無効化する方法について、自国の防衛産業界などから情報を募っている。ロシア側の取り組みでも、音響や視覚を手がかりにした探知方法に主眼が置かれるとみられている。

音響情報からのドローンの探知は、ドローンのモーターやプロペラのブレード(羽根)から発生する特徴的な音を多数のマイクからなるシステムで拾い、識別するというもので、技術として確立している。光ファイバー型ドローンは、ケーブルスプールで重量がかさむ分、プロペラでより大きな推力を生む必要があるため、通常の無線型ドローンよりも騒音が大きくなる。
次ページ > 指向性マイクと赤外線センサーを組み合わせた探知方法

翻訳・編集=江戸伸禎

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