欧州

2024.08.23 10:00

ロシア軍、クルスク戦線に新兵器「光ファイバードローン」を投入 電波妨害効かぬ難敵

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ウクライナによるロシア西部クルスク州への侵攻は、ロシア側の偵察ドローン(無人機)という「目」をつぶしつつ、FPV(一人称視点)ドローンを飛べなくした電子電撃戦の支援を受けて成功した。一方のロシアは現在、光ファイバケーブルで誘導され、ジャミング(電波妨害)が効かない最新ドローンで対抗し始めている。光ファイバー誘導のドローンが戦闘で使用されるのは初めてだ(注)。

この新型ドローンの登場はドローンの進化の速さをあらためて思い起こさせる。それはまた、ドローンを使ったテロへの対策をジャミングに大きく依存している世界各国への警告でもある。

無線制御につきものの問題

FPVドローンは一般に操縦士との無線リンクを必要とする。ドローンはそれを通じて映像信号を送り、操縦士はこのリンクの別のチャンネルで制御信号を送る。いずれかの信号が失われると、ドローンは普通、即座に墜落する。

ロシアとウクライナの戦争の最前線で、トレンチ(塹壕)ジャマーやスーツケース型ジャマー、車両搭載型ジャマーが大量に使用され、選択した周波数の妨害信号を流しているのはそのためだ。ジャマーが有効な場合、50〜100mほどの範囲に防護の「バブル」(通信が遮断されるエリア)がつくり出される。熟達した操縦士はFPVドローンを急角度で進入させ、勢いだけで突き抜けさせられるものの、通常はこれでFPVドローンを遠ざけられる。

ドローンは動作周波数の変更を繰り返し、ジャマーもドローンを封じ込めるため更新され続ける。このため、戦場ではドローンとジャマーは終わりのないイタチごっこのような関係になっている。だからこそ、敵のドローンやジャマーを出し抜くために、ウクライナ軍がクルスク州への越境作戦で行ったような電子電撃戦が必要になるわけだ。それには、長期にわたる準備によって敵側が現地で使用している周波数をすべて特定すること、また、それらの周波数をことごとく妨害して一時的にすべてのドローンを飛べなくさせるのに、十分な数のジャマーを集めることが求められる。

ドローンはジャマー以外の原因で無線リンクを失うこともある。無線リンクは基本的に、見通し線が確保されていることが必要になる。ドローンが比較的高い高度を飛んでいる場合は問題ないが、高度を下げると見通し線が遮られ、たちまち通信が途切れ始めてしまう。中継用のドローンは役に立つが、いずれにせよFPVドローンは攻撃の最終段階で低空に潜り込ませなくてはならない。ドローンが衝突する間際には映像信号に干渉が発生し、決定的に重要な瞬間に視界が損なわれることがほとんどだ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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