かねて、この探知方法の主な課題は距離だった。音の大きさは距離によって減衰するので、普通のマイクシステムではドローンが100メートルくらい以上離れるとその音と周囲の音を区別しにくくなる。この制約に対処するために、よく使われるようになっているのが指向性マイクだ。指向性マイクシステムでは、特定の空域を対象に環境音の干渉を大幅に低減できる。このシステムで空域を広範囲に探査すれば、ドローンの存在を示す音響の検出率を高められる。
視覚情報によるドローンの探知も同様に確立されているものの、やはり課題がある。小型ドローンは空を背景にした小さな点に見えることが多く、航空機や鳥との区別が難しい。さらに有線ドローンの場合、普通は無線ドローンよりも地上近くを飛行するので、視覚探知に必要な見通し線が制約される。
考案されているいくつかの技術は、いわばドローンの有線を逆手に取り、視覚探知の補助に光ファイバーケーブルを用いる。光ファイバーケーブルは細く、可視スペクトルでは見えにくいが、赤外線領域では光を反射する。視覚探知ではこの特性を利用し、拡散型赤外線レーザーで空域を広範囲に照らし、赤外線カメラでケーブルからの反射を検出することで、ドローンを見つけ出す。赤外線カメラは、作動中に加熱するモーターからの熱シグネチャーも検出できる。
音響探知、視覚探知いずれの方法も、ことわざに言う「干し草の中にある針を探す」ように、大量のノイズの中から非常に小さな信号を識別しなくてはならない。機械学習やAI(人工知能)などを活用した処理技術の進歩によって、この作業は容易になる可能性がある。
また、これら2つの探知方法を組み合わせれば、互いに補完し合うことでドローンの探知率を高められる。カラダフはウクライナが強みをもつ処理技術分野の知見を生かし、自国向けにこうしたシステムの開発を進めている。
このように、光ファイバー制御ドローンに対抗する方法が模索されているものの、現時点でこうしたシステムは実用化されていない。したがって、先に開発した側が戦場ではっきりと優位に立てることになるだろう。
もっとも、ロシアにはドローンに関する専門的な技術があるし、ウクライナには新しいソリューションを迅速に開発し、実戦配備する能力がある。そうである以上、一方が対策を導入すれば他方もすぐに追随する可能性が高く、ドローン戦は引き続き進化していくことが予想される。
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forbes.com 原文)