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欧州

2025.01.21 09:30

FPVドローンがなおウクライナ最強の「戦車キラー」である理由

Shutterstock.com

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FPV(一人称視点)ドローンはウクライナでの戦争を特徴づける兵器になっている。小型のレーシングドローンにRPG(対戦車擲弾)の弾頭などを装着したこうしたドローンを、ウクライナは昨年100万機以上製造し、ロシアの製造数もそれに近い。一方で、戦場でジャマー(電波妨害装置)の使用が広がるにつれて、FPVドローンは以前ほどの輝きを失い、有効性が低下するとの見方もある。

フランスのピエール・シル陸軍参謀長は昨年6月、ウクライナの戦場でFPVドローンの75%は電子戦によって落とされていると述べ、この比率はさらに高まっていくと予想した。彼は、ドローンが当初、戦車に対して収めた成功は「歴史上の一瞬」の出来事にすぎず、近いうちに戦車が本来の地位を取り戻すとの見通しも示していた。

だが、簡単な調査からわかるのは、その「一瞬」は終わっていないということだ。FPVドローンはなお、ロシアの最も手強い戦車を撃破するのにもきわめて有効なのだ。わたしたちはまだ、FPVドローンによって可能なことを目にし始めたばかりかもしれず、その影響力は下がるどころか、ますます高まっていく可能性がある。

対ドローン装備を何重にも施したT-90M戦車

前にも説明したとおり、ある兵器による撃破率を求めるには、確認されたすべての撃破例を調べ、それぞれがどの兵器によるものだったのかを特定するしかない。この作業をロシア軍のすべての装甲車両についてやるとなると膨大な時間がかかるので、ここでは対象を1種類に絞り、T-90M「プラリフ(突破)」戦車が撃破された事例について検討したい。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「世界最高の戦車」と誇ったT-90Mは、ロシアの最新鋭の戦車である。ロシアが「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナ侵攻の間も、新たな脅威、なかでもFPVドローンに対する防護のため、T-90Mは何度かアップグレードされている

現在、T-90Mは工場出荷時点で、ルーフスクリーン、砲塔後部を保護するゴム製シールド、追加の爆発反応装甲、ジャマーが標準装備されている。最新型には、飛来してくる脅威を迎撃するためのアレーナ(アリーナ)アクティブ防護システムも搭載されるとみられる。T-90Mは価値の高いアセットであり、可能な限りの保護が施されている。
次ページ > 昨年10〜12月にT-90M10両を撃破した兵器は何だった?

翻訳・編集=江戸伸禎

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