他方、ゼレンスキーは、同月にロシアがウクライナに向けて発射したシャヘド型ドローンは2500機超だったと述べている。注意すべきなのは、これにはデコイ(おとり)のドローンが多数含まれているという点だ。おとり機は本物よりもひと回り小さく、レーダー反射板を取り付けたロシア製ドローンで、ウクライナの防空網を撹乱したり、消耗させたりするために送り込まれている。ただ、それで言えば、ウクライナがロシアに飛ばしているドローンの一部もおそらくおとりだろう。
もうひとつよくわからないのは、双方のドローンが実際に何機、相手側の防空網を突破しているかだ。
アナリストのShahedTrackerが根気強くまとめている詳しいデータによれば、11月にウクライナを攻撃したシャヘド型ドローンは正確には2444機で、うち1317機(54%)が撃墜され、990機(40%)が電子戦で落とされ、50機(2%)が「飛び去った」。残り87機(4%)はたぶん目標に命中したのだろう。もちろん、これらの数字を検証することはできないが、ウクライナが低速で飛来するドローンを追跡するマイクシステムを全土に張り巡らせていることや、機関砲や重機関銃を装備する何百もの機動射撃隊が迅速に迎撃位置についていること、そして彼らが迎撃に成功している動画がたくさんあることは知られている。
Shahed type OWA-UAS stats Nov2024 [per UA Air Force Reports]
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Total: 2444
Claimed Intercepted: 1317
Lost by EW: 990
Unknown (Likely Downed): 15
Interception Rate: ~95%
Flew Away: 50
The median attack: 85 drones
No drones: 1 day
Charts: pic.twitter.com/a9YycBHsFH — Shahed Tracker (@ShahedTracker) December 2, 2024
ロシアはウクライナよりもはるかに広大なエリアを守る必要があるので、おそらく迎撃の成功率はウクライナ側よりもかなり低いだろう。ロシア兵らが小火器でドローンを撃ち落とそうとして失敗する動画もいくつかあり、ドローンが頭上を通過し、目標に衝突するのをただ見ているだけの動画もある。新たな脅威に対処するのに必要なインフラや組織をロシアはまだ持っていないようだ。
双方で量産体制に
ウクライナは多種多様な長距離攻撃ドローンを製造しており、アナリストのH・I・サットンは24種類を記録しているが、これでも網羅されていないかもしれない。各ドローンはさまざまなグループによってつくられていて、プラスチック製配管を胴体に流用した原始的ながら有効な「排水管ドローン」から、軽飛行機を改造したタイプ、ウクライナ国防省情報総局(HUR)が配備している「リューティー」のような洗練されたモデルまで多岐にわたる。米国から供与されているフェニックス・ゴースト自爆ドローンファミリーの「ドミネーター」など、外国から供給されているものもある(編集注:米エイベックス・エアロスペースが手がけるフェニックス・ゴーストはロシアによるウクライナへの全面侵攻直後の2022年4月以降、米政府からウクライナに複数回供与されてきたが、外観や仕様、ウクライナ軍での使用実態などいっさい謎に包まれていた。最近になって外観や仕様が公開された)。