欧州

2024.06.01 10:00

ウクライナ、クリミアのフェリーターミナルも攻撃 補給線遮断は最後に「難物」

鉄道路線を寸断するのは、不可能ではないにせよ困難だ。フロンテリジェンス・インサイトはこう書いている。「ウクライナ側は過去に、クリミアとウクライナ本土を結ぶ鉄道を狙ったことがある。そのときはSCALPやストームシャドーといったミサイルを使ったが、比較的軽微な損傷にとどまり、長期にわたって鉄道の運行を大きく妨げることはできなかった」

フロンテリジェンス・インサイトによれば、鉄道車両を攻撃するのも同じく難しい。ロシア側は「列車を主に夜間や早朝に運行し、日中に動かすのは最小限に抑えて、兵站の動きを見えにくくしている可能性が高い」という。

ただ今後、ウクライナ側の攻撃によって鉄道以外の補給線が断たれ、ロシア側の兵站が南部の鉄道にますます依存するようになれば、ウクライナは鉄道路線や鉄道車両に永続的なダメージを与えることに注力するようになるかもしれない。

その場合、ウクライナが最初に狙うのは、新たな鉄道連絡線、とくに橋を渡る区間になる可能性がある。「いまのウクライナはこの連結部に深刻なダメージを与えるための手段を保有しており、数週間あるいは数カ月使用不能にできるかもしれない」とフロンテリジェンス・インサイトは述べている。「もっとも実際にそうできるかどうかは、ロシア側が攻撃に脆弱な場所、とりわけ橋を守るためにどれくらいの防空システムを割り当てるかなど、複数の要因に左右される」

ウクライナによる対鉄道作戦に期待をもてそうな点があるとすれば、現在、ロシアの防空網が非常に薄く引き伸ばされた状態になっていることだ。ロシア側は、ウクライナのドローン(無人機)や巡航ミサイル、ロケット弾からウクライナでの占領地を守るのに苦労しているだけでなく、ロシア国内の産業施設レーダー飛行場などを守る必要にも迫られているためだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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