欧州

2024.05.11 11:00

ウクライナの軽飛行機型ドローン、前線から1300km超離れた巨大石油施設を爆破

Shutterstock.com

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ウクライナが軽量スポーツ機を改造した自爆型ドローン(無人機)でロシア領内の目標を攻撃し始めてから1カ月後、その1機がウクライナの前線から1300km以上離れたロシア西部サラバトの製油所を攻撃した。

9日にあったこの攻撃は、ウクライナによるこれまでのドローン攻撃のなかでも群を抜いて長距離のものだった。ウクライナがロシアの製油所や工場、戦略的に重要な軍事施設を狙った遠距離打撃作戦をエスカレートさせていることも意味する。

スポーツ機改造型ドローンによる越境攻撃としては、失敗に終わったとみられるものも含めると少なくとも4回目だ。現地の人が撮影した映像には、左右に真っすぐ伸びた幅広の翼、固定式の車輪、プロペラと、安価なスポーツ機の特徴がはっきり捉えられている。こうした軽飛行機は中流階級のアマチュアパイロット向けに、自宅で組み立てられるキットなどとして9万ドル(約1400万円)程度で市販されている。

ウクライナ国防省情報総局は特殊作戦軍と協力して、国産の2種類のスポーツ機をドローンに改造した。ひとつはアエロプラクト社が手がけるA-22、もうひとつはアエロス社がライセンス生産するスカイレンジャー・ニンジャだ。

どちらのDIYドローンも安価なビデオカメラ、オンボードコンピューター、操縦装置に接続されたサーボ機構(自動制御システム)、映像の送信や制御信号の受信に用いる衛星無線機を搭載しているとみられる。

A-22型は爆発物を機内に搭載するようだ。ニンジャ型は100kgの爆弾を胴体下に装着する。両機とも時速160km前後で巡航し、民間の航空交通に紛れて飛行するので、迎撃するのは難しい。

1300kmという距離は、スポーツ機で一般的な76Lの燃料タンクを満タンにしてぎりぎり飛べる距離だ。改造機では重量よりも航続距離を優先して燃料タンクを増設しているのかもしれない。航続距離が伸びるほど攻撃可能な目標は増える。

4月2日にはA-22改造型ドローン少なくとも1機が、ウクライナとの国境から約1000km離れたロシア西部エラブガの経済特区内にあるイラン設計のシャヘド自爆型ドローンの工場を攻撃した。同月17日ごろには、やはりA-22改造型とみられる複数のドローンが、国境から約500kmのロシア西部コビルキノに配備されているロシア軍のOTH(超水平線)レーダーに連続攻撃を行った。アンテナ塔や管制施設を損傷させた可能性がある。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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