欧州

2024.04.19 09:30

ウクライナの軽飛行機型ドローン、ロシアに1基しかない巨大レーダーを狙う

ウクライナ・アエロプラクト社のA-22超軽量機。2011年6月、ウクライナ西部ジトーミルで(dragunov / Shutterstock.com)

ウクライナの軽量スポーツ機改造型の自爆ドローン(無人機)が狙っている2番目の目標は、かなりの大物だ。ウクライナの戦線から約600km離れたロシア西部コビルキノに配備され、最大3000kmの探知距離を誇るOTH(超水平線)レーダー「コンテナ」(29B6コンテイネル)だ。

ウクライナは先週、この巨大レーダーを攻撃するため長距離ドローンを出撃させたが、命中しなかったとされる。そこで17日、再び攻撃を試み、今度は少なくとも、30m以上あるアンテナ塔約145本が立ち並ぶ広大な施設の近くまで到達させた。

ロシアの民間人によって撮影したとみられる地上からの映像には、アエロプラクトA-22軽量スポーツ機を改造したドローン1機がコンテナの施設に向かって飛行し、その後、爆発現場とみられる地点から煙が立ち上る様子が見える。

ウクライナ側がコンテナに繰り返しドローンを送り込まざるを得ないことは、ウクライナの戦線から数百km離れ、敷地面積も広いレーダー施設に対する攻撃の難しさを物語っている。コンテナが簡単に撃破されるとは考えないほうがいいだろう。だが、ウクライナがこの唯一無二のレーダーへの攻撃を試み続けることは期待していい。

現在ロシアに、欧州の空域を監視するために西方向をカバーするOTHレーダーは、1億1000万ドル(約170億円)する新世代のOTHレーダーであるこのコンテナしかない。ロシアのほかのOTHレーダーは北極圏に配備されていて、北方向をカバーしている。

OTHレーダーは、地球の大気の上層にある電離層に信号を跳ね返すことで、水平線の向こう側まで探知できるレーダーだ。冷戦期には、核兵器に対する早期警戒を目的に核保有国が配備していた。今日では、富裕な国々で、敵の航空機やミサイル、ドローンなどを遠距離から発見・追跡するのにも用いられている。

OTHレーダーは必ずしも通常のレーダーほど精確ではない。ただ、通常のレーダーの場合、前線から数百km以内に置く必要があり、敵のあらゆる火力にさらされやすい。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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