米陸軍のクレア・ギル准将と同僚のブリジット・デイ少佐は、すでに3年前にこうした問題を予見していた。ふたりによれば、米陸軍はヘリ数十機を補給できる「スーパーFARP」を設置するのが常習になっていた。
だが時代は変わった。「過去にうまくいったからといって、今後も繰り返せるとは限らない。スーパーFARPというコンセプトが(中略)存続できる可能性はほとんどない」とギルとデイは論じている。
もっと小規模なFARPの場合ですら、彼らの認識は正しかった。3月13日かその前日ごろ、ロシア軍のドローンは、ウクライナ東部アウジーウカ郊外の前線から55kmほど離れたノボパウリウカ村の平原で、ウクライナ軍第12独立陸軍航空旅団のMi-8もしくはMi-17強襲ヘリ3機が補給しているのを発見した。
そこにイスカンデルが猛スピードで突っ込み、ヘリ2機が破壊されたほか、搭乗員少なくとも2人が死亡した。2カ月後、パウロフラード近郊で同様のことが起きた。パウロフラードはノボパウリウカの西65kmほどに位置するので、攻撃を受けたのはおおむね同じ方面といってよい。
ウクライナ軍に4個あるヘリ運用旅団は現状、機体不足の危機が差し迫っているわけではない。2022年2月にロシアが戦争を拡大した時点で、4個旅団は全体でMi-24を約40機、Mi-8を約60機保有していた。その後の戦闘でヘリを44機失う一方、飛行不能だった古いヘリの一部を修復し、さらに支援諸国から代替機としてヘリ90機以上を供与されている。
ではウクライナ軍はヘリの損害をあまり心配しなくていいのかと言えば、そうではない。ヘリ1機を失うごとに搭乗員2人以上が死傷する可能性があり、経験豊かな搭乗員は機体よりも代替が難しいからだ。
ウクライナ側が弾薬・燃料補給の一段の迅速化やFARP上空の防空強化、より安全な夜間の作戦への移行、あるいはこれらの組み合わせといった措置を講じなければ、狙われやすいFARPでの損失は今後も続くおそれがある。
(forbes.com 原文)