昨年12月下旬、ロシア軍の大砲によって「街全体が組織的に破壊し尽くされ、構造物や住居の痕跡すらほとんど残らなかった」とフロンテリジェンス・インサイトは記している。
隠れる場所がなくなったウクライナ軍の守備隊は西へ退却し、ロシア側にプロパガンダ上の大きな勝利をもたらした。「執拗な砲撃によってマリンカは完全に消滅し、侵略者はのちに『解放』を主張した」とフロンテリジェンス・インサイトは書いている。
前線付近では、ウクライナ軍は大砲の不足を、爆発物を積んだ大量のFPV(1人称視点)ドローン(無人機)で補い、攻撃してくるロシア軍部隊に向かわせている。
だが、重量1kg弱で500gほどの擲弾を投下する一般的な無線操縦FPVドローンは、航続距離がせいぜい3km強しかない。「私たちの観察では、多くの大砲は前線から15〜24km離れた場所に配備されており、大半の小型FPVが実際の運用で到達できる範囲の外にある」とフロンテリジェンス・インサイトは述べている。
米国が昨年初めに供与を表明し、ウクライナに間もなく届く新型ロケット弾GLSDB(地上発射型小直径爆弾)は、ロシア軍の火力優位を揺さぶるかもしれない。GPS(全地球測位システム)で誘導される滑空爆弾であるGLSDBは射程が150kmある。
とはいえ、ウクライナがどのくらいの数のGLSDBを取得できるのかや、それをどのように配備するのかは不明だ。フロンテリジェンス・インサイトは「GLSDBの導入は重要な転換点になる可能性がある」としながらも「とくにこの兵器が大規模な通常戦で試されたことがない点を踏まえると、断定的な結論を導くのは時期尚早だ」と付け加えている。
ウクライナ側が砲弾発射数の均衡を取り戻し、さらなる都市の壊滅を防ぎ、ロシア軍の砲兵の増長を逆手に取る最も確実な方法は、最も自明な方法でもある。どうにかして、榴弾砲の砲弾やロケットランチャーのロケット弾をもっと多く入手することだ。
ただ、米国を当てにしてはならない。バイデンは、米国で余剰になった兵器を議会の承認を得ずに他国に譲渡できる広範な権限をもつが、その権限の対象が弾薬にもおよぶのかは定かでない。
(forbes.com 原文)