2. 睡眠不足は社交性に直接影響しているかもしれない
今年1月に発表された研究論文によれば、睡眠不足が気分や行動にどんな影響をおよぼすかを調べたマウス実験では、活動性の増加、社会的交流や交尾の増加、抑うつ的行動の減少など、さまざまな行動状態が引き起こされることが観察された。こうした変化は、脳の特定領域におけるドーパミン活性と密接に関連していた。この研究では、急性睡眠不足により、特に脳の内側前頭前皮質においてドーパミンの放出が促進されることが明らかになった。内側前頭前皮質は、意思決定や社会的行動に関連する脳領域だ。深夜の会話で思いのほか多くの打ち明け話をしてしまいがちな理由は、これで説明できるかもしれない。
会話に制約がないと感じることは、解放体験になる。それは話題の選び方だけでなく、コミュニケーションの取り方についても言える。言葉はより流暢に、思考はより反射的に、情緒的反応はより繊細になるだろう。ドーパミンの活性化と睡眠不足の影響が相まって、私たちの脳は、新しい発想や感情、視点を受け入れやすい独特の認知環境をつくりだす。
夜ふけの会話は、唯一無二の魅力的な体験となることが多く、より深いつながりや深い洞察によって人生を豊かにしてくれる。しかし、睡眠の大切さとのバランスを忘れてはならない。定期的な睡眠不足は、私たちの心身の健康に重大な影響を及ぼす恐れがある。
真夜中の会話が心を打ち、記憶に残るのは、それが希少な機会だからだ。たまに訪れる貴重な体験として大事にすれば、心身の健康と幸福を一切損なうことなく、深くて自由な会話を楽しめる。今度、話に夢中になって夜更かししてしまったときは、その瞬間を味わうだけでなく、ぐっすり眠ることの大切さも思い出してほしい。
(forbes.com 原文)