不規則な睡眠、認知症と関連か 発症リスクが53%上昇

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夜中に2回以上目が覚めるなどの睡眠時間が不規則な人は、規則的な睡眠をとる人よりも認知症の発症リスクが53%高いことが、最新の研究結果で示された。ただし、認知症と不規則な睡眠が具体的にどのように関連しているかは明らかになっていない。

米国立衛生研究所(NIH)は7~9時間の睡眠をとることを推奨しているが、この研究を主導した米国神経学会(AAN)の研究チームは、重要なのは睡眠時間よりも規則正しい睡眠スケジュールを維持することだと述べている。

研究チームは、7年間にわたり平均年齢62歳の英国人8万8000人以上の睡眠パターンをモニターした研究結果を、12月13日付けの医学誌Neurologyで発表した。

対象者のうち、計480人が認知症を発症。その中でも、不規則な睡眠パターンの人は、認知症を発症するリスクが53%高かった。AANは、睡眠と認知症との関係はまだ完全には解明されていないものの、この2つが密接に関連している可能性がデータで示されたと述べている。

NIHは、1日に1~4時間の短い睡眠を3回繰り返すことを不規則な睡眠と定義している。不規則な睡眠が人体にどのような影響を及ぼすかの研究は、まだ始まったばかりだが、今年初めに学術誌Journal of the American Heart Associationに掲載された研究結果では、不規則な睡眠が動脈硬化の発症と関連していることが示されていた。

Neurology誌に掲載された今回の論文では「心血管リスクは認知症の修正可能な危険因子であることが確立されている」とも指摘している。NIHが2019年に発表した別の研究では、不規則な睡眠と高コレステロールや高血圧、高血糖などの代謝障害との関連が指摘され、睡眠時間が1時間変動するごとに、代謝障害を発症する確率が最大27%上昇するとされた。

今回の研究は、睡眠の質と認知症の発症リスクとの関係を調べた他の研究に続くものだ。近年の研究では、短い睡眠時間だけでなく長すぎる睡眠や、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害はすべて認知症との関連が指摘されている。特に、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)はアルツハイマー病の発症リスクを高めるとされている。

今回の研究では、不規則な睡眠の人がその規則性を平均レベルに改善すれば、認知症のリスクを下げられることも示された。AANは、規則正しい睡眠や覚醒のスケジュールを守ることによって、睡眠のスケジュールを改善することが可能だと述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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