ジャーナル「プロスワン(Plos One)に掲載された研究結果によると、睡眠の質は、睡眠時間の長さや、本来の体内リズムと社会的制約を受けた睡眠リズムのズレによって起きる「社会的時差ぼけ(ソーシャル・ジェットラグ)」以上に、優れたQOLの指標になるとみられる。
2021年にジャーナル「スリープ・メディシン(Sleep Medicine)」に発表された研究結果でも「睡眠の質が低いことはQOLの低下に関連している」との見方が示されている。この傾向は、特にうつ病や不安障害に悩む人に顕著だという。
米保健福祉省(HHS)の関連機関、疾病予防健康増進局(ODPHP)によれば、質の高い睡眠を十分に取ることには、ストレス軽減と気分の改善、思考の明晰化、健康的な体重の維持、深刻な健康上の問題(糖尿病や心臓病)の発生の回避、人間関係の改善といったメリットがある。
一方、18~64歳は毎晩7時間以上、65歳以上は同7~8時間の睡眠が必要とされているが、米疾病対策センター(CDC)は、米国の成人はおよそ3分の1が十分な睡眠をとっていないと指摘している。米国で睡眠障害に悩む人は約5000万~7000万人、閉塞性無呼吸症候群の人は約2500万人とされている。
睡眠の質を高める方法
日常的に質の高い睡眠を取るため、CDCは以下の5つの「より良い睡眠習慣」を身に着けることを推奨している。・週末も含め、就寝・起床時刻を毎日同じにする
・暗く、静かで、リラックスできる、快適な室温の部屋で眠る
ただ、音がまったくない状態では眠りにつけないという人もいる。そうした人は、オーディオのみを再生して眠りに就くことがお勧めだという。音量が頻繁に変わり、光も発するテレビは、睡眠を妨げるものになり得る。