もちろん、子どもの頃にいつもいっしょだったおもちゃに大人になってからも依存しすぎるのはよくないことだ。しかし、健全な関係を築くことは可能で、有益でさえある。2017年に行われた調査では、米国の成人の半数以上が、子どもの頃にもらったテディベアをいまだに持っていると答えた。
私たちが大人になっても子どもの頃のおもちゃに愛着を持ち続ける理由は、3つある。
1. 子ども時代のおもちゃは感覚的な安らぎの基となる
2023年の研究によれば、テディベアは見た目、匂い、そして何より撫でたり抱いたりしたときの感触が相まって、年齢に関係なく持ち主に癒やしをもたらす。手触り、重さ、柔らかさなどの要素が、生涯を通じた持ち主とテディベアの絆を生むのだ。2011年の研究では、社会から排除されていると感じている人がテディベアに触れると心の支えを得られることがわかった。触り心地のよさが前向きな気持ちを引き出し、より向社会性の高い行動をとるようになる可能性さえあるという。
何かを抱きしめる感覚は、対人信頼度の上昇や体内のコルチゾール値の低下にも関連している。これは、おもちゃにストレス値を下げる効果があることを示唆している。
2. 子ども時代のおもちゃは不安を和らげる
乳幼児は、就寝時間や授乳の合間などに主たる養育者(通常は両親)が側を離れると、タオルや毛布、ぬいぐるみといった「移行対象」に執着する傾向があるとの研究結果がある。移行対象は乳幼児の不安を軽減し、親離れ(分離期)を乗り切る助けとなる。予測可能性と安定性を必要とする成長期の子どもは、親の不在時に移行対象を探し求め、親を想起させる存在、すなわち心地よく、柔らかく、親しみやすいものに愛着を持つようになる。
別の研究によると、子どもは感情移入したおもちゃに心があると考える。思考能力があり、魂を持った存在とみなすのだ。それは、子どものおもちゃが生き物に似た姿をしていたり、親と同じく「顔」を持っていたりするからだ。