ただし、効果があるのはごく近距離でのみ。ウクライナ軍のドローン操縦士が、RP-377を取り付けたロシア軍の車両を爆破できているのは、そのためだ。腕のいい操縦士は、飛行の最後の数秒間に無線が途切れても、ドローンの勢いを頼りに攻撃を成功させられる。
とはいえ、ウクライナ軍の操縦士たちは、この方法を自分たちで見つけなければならなかったようだ。ウクライナのドローン専門家セルヒー・ベスクレストノフによると、国防省は助けてくれなかったという。
ベスクレストノフは最近、ソーシャルメディアへの投稿で、RP-377についてこう書き込んだ。「これが軍事組織と非軍事組織によって調べられたことに疑いはない。科学センターの誰かが、型や航続距離が異なるFPVでテストしたかどうかは、分からない。ウクライナ軍の戦闘に使われる無人航空機(UAV)の操縦士に、装備を保護する能力とその脆弱(ぜいじゃく)性について話した者はいるかというと、間違いなく皆無だ」
ロシア軍は、RP-377を取り付けた車両を増やしている。だが、ロシア軍の妨害電波がウクライナ軍のドローンにとって問題になっているのと同様、ウクライナ軍の妨害電波もロシア軍のドローンにとって問題になっており、RP-377は電波妨害戦の激化に最も大きな役割を果たしているわけではないようだ。
ウクライナ軍のドローン操縦士が、特徴的なバックパックに入ったRP-377が取り付けられたロシア軍の車両を爆破している映像はたくさん出回っている。少なくとも1つのケースでは、ウクライナ軍のドローン操縦士がRP-377を取り付けたBMP戦闘車両を攻撃し、RP-377を直撃している。
RP-377が低性能だというわけではない。「周波数の分析結果を見た。妨害の質は非常に高い」とベスクレストノフは述べている。