だが、ロシア軍のジャマーはおそらく、ウクライナ軍のドローン操縦者が使うであろうさまざまな周波数を網羅するために、広帯域で信号を遮断するノイズを出すようになっているのだろう。
「その代償として、カバー範囲が狭い」とベスクレストノフ。RP-377は通常バックパック型で、車両のエンジンからではなく、ポータブルバッテリーから電力を取っている。RP-377が複数の周波数を妨害するには多くの電力が必要なため、その範囲は狭まってしまう。
ウクライナ軍のFPVが標的に向かって突撃する際、通信が途絶える可能性はある。だが、そのときにはすでに、標的に致命的な打撃を与える軌道に乗っている。RP-377は機能するが、その範囲が不十分であり、おそらくほんの数十m先までしか妨害できないのだ。
これがロシア軍の電波妨害の弱点となり、ウクライナ軍のドローンが妨害を受けながらも攻撃できる理由となっているようだ。この脆弱性を見つけたのはドローン操縦士らだ。
ウクライナ軍のこの優位性はおそらくずっとは続かないだろう。ロシアは、ドローン電波妨害用に作られた車両搭載型の「ヴォルノレス」というジャマーを次々と設置している。このジャマーの遮断範囲は800mほどとされている。
(forbes.com 原文)