だが、即興での対応がすべてうまくいくわけではない。ロシア軍は、敏捷な一人称視点(FPV)ドローンを制御する信号を妨害しようと、小型のRP-377ジャマー(電波妨害装置)を戦車や戦闘車両にくくりつけていることが次第に明らかになっている。目的は、無線で起爆できる即席爆発装置(IED)を爆発させる信号の妨害だ。
ただ、RP-377はFPVドローンに対してはあまり効果がないことが明らかになってきている。これらの手製ジャマーを取り付けたロシア軍の車両をウクライナ軍のドローンが爆破する様子をとらえた皮肉な動画が、ソーシャルメディアに出回っているのだ。
これと似た皮肉としては、ウクライナ軍がロシア軍のGPSジャマーをGPS誘導爆弾で爆破する様子をとらえた動画も存在する。
ロシア海軍の歩兵旅団(第155旅団か第40旅団)が運用する不格好なT-80BVM戦車は、ドローン対策にロシア軍が苦慮していることを物語っている。この戦車には手製のケージアーマー(鳥かご装甲)が施されている。これは砲塔の旋回を妨げる可能性はあるものの、少なくとも爆発するドローンからある程度は車両を保護できるはずだ。
26 November 2023
— Naalsio (@naalsio26) November 28, 2023
Russian-occupied Volnovakha Raion, #Donetsk Oblast, #Ukraine
T-80BVM in operation with either Russia's 155th Separate Guards Naval Infantry Brigade or 40th Naval Infantry Brigade, Pacific Fleet.
Note the substantial anti-drone canopies and the IED jammer on the… pic.twitter.com/LBM8HpQJmz
IEDは、ロシアがシリアなどで展開する非正規戦争で大きな問題となっている。主に正規軍同士が戦っているウクライナではさほど問題ではない。
だがウクライナでは、RP-377を車体にボルトで固定して前線に登場するロシア軍の車両が増えている。これらのRP-377はおそらくIED対策で取り付けられたわけではなく、ドローン対策で効果を上げることを期待したもののようだ。
原理的には、遠隔操作のIEDもドローンも同じくらい電波妨害に弱い。ロシア軍の東部軍管区は2020年に試験を行い、RP-377が無人航空機(UAE)の制圧に役立ったと主張した。
実際には、多くのドローンは通信中に周波数をこまめに変更する周波数ホッピングや自動操縦の機能を搭載しており、電波妨害の影響を軽減することができる。だからこそRP-377を取り付けた車両へのドローン攻撃が数多く成功している。
おそらく最も皮肉なのは、ウクライナ軍のFPVドローンが数週間前に行ったロシア軍のBMP戦闘車両への攻撃だ。ドローンはRP-377が取り付けられたBMP目掛けて飛び、RP-377を直撃した。
(forbes.com 原文)