欧州

2023.11.30

ロシア、旧式戦車に大量の追加装甲 鈍足のT-62がさらに鈍重に

旧ソ連型戦車T-62。ロシア・モスクワ州クビンカにて2003年9月12日撮影(Andrey 69 / Shutterstock.com)

ウクライナとの戦争で毎月多数の戦車を失っているロシアは、戦力の補填に躍起になっているが、代替として前線に投入する戦車に初戦を生き延びるチャンスをどうにか与えようとあがいてもいるようだ。60年前に製造され長く保管されていたT-62戦車を引っ張り出してきたかと思えば、その車体と砲塔に装甲を追加しはじめた。

この時代遅れの4人乗り戦車の乗員にとって問題なのは、エンジンが620馬力のままアップグレードされていない点だ。フル装備の爆発反応装甲(ERA)は重量3トンにもなる。積み増した分だけ、ただでさえ鈍重なT-62はいっそう取り回しが悪くなる。

26日にインターネット上に出回った写真には、大幅に改造されたT-62MVが写っていた。T-62MVは1960年代の戦車を1980年代に改修した車両で、これに第三世代主力戦車T-90向けの追加装備と同型のERAが搭載されている。

ロシア軍でのT-62MVの運用は2008年以降ほとんど見られなくなっていた。だが、ロシアは昨年、近代的な戦車の損失が1000両を超えたことから、旧式のT-62を戦線復帰させはじめた。

ERAに加え、115mm主砲の砲手用照準器をより近代的な1PN96MT-02に換装したこの車両は、最も大幅にアップグレードされたT-62かもしれない。「T-62MV Obr.2023」とでも呼ぼうか。

問題は、T-62MVのディーゼルエンジンの出力が620馬力しかないことだ。重さ3トンのERAを追加装備したT-62MVの総重量は45トンを超え、出力重量比は1トンあたり14馬力を下回る。T-90Mは26馬力/トン、ウクライナ軍の米国製M-1A1は22馬力/トンである。

ERAがしっかり取り付けられていれば、被弾時に外側へ向かって爆発することで敵弾の威力を相殺し、一部の高火力弾に対する戦車の防御力は実質的に倍増する。

しかし、出力不足のT-62MV Obr.2023の場合、防御力が強化される代わりに機動性が犠牲になる。もともとT-62は決してキビキビした足回りの戦車ではなかった。今や、その敏捷性はさらに低下している。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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