この時代遅れの4人乗り戦車の乗員にとって問題なのは、エンジンが620馬力のままアップグレードされていない点だ。フル装備の爆発反応装甲(ERA)は重量3トンにもなる。積み増した分だけ、ただでさえ鈍重なT-62はいっそう取り回しが悪くなる。
26日にインターネット上に出回った写真には、大幅に改造されたT-62MVが写っていた。T-62MVは1960年代の戦車を1980年代に改修した車両で、これに第三世代主力戦車T-90向けの追加装備と同型のERAが搭載されている。
T-62 obr 2023
— 2S7 pion (trost) (@Trotes936897) November 27, 2023
You can see this was equipped with ERA made for the T-90M along with other vehicle systems like sosna-U or PNM-T sight This thing even has holes in the ERA of the turret where the T-90M's laser warning systems should be placed, The T-90M's smoke grenade launchers… pic.twitter.com/3GAkf084AD
ロシア軍でのT-62MVの運用は2008年以降ほとんど見られなくなっていた。だが、ロシアは昨年、近代的な戦車の損失が1000両を超えたことから、旧式のT-62を戦線復帰させはじめた。
ERAに加え、115mm主砲の砲手用照準器をより近代的な1PN96MT-02に換装したこの車両は、最も大幅にアップグレードされたT-62かもしれない。「T-62MV Obr.2023」とでも呼ぼうか。
問題は、T-62MVのディーゼルエンジンの出力が620馬力しかないことだ。重さ3トンのERAを追加装備したT-62MVの総重量は45トンを超え、出力重量比は1トンあたり14馬力を下回る。T-90Mは26馬力/トン、ウクライナ軍の米国製M-1A1は22馬力/トンである。
ERAがしっかり取り付けられていれば、被弾時に外側へ向かって爆発することで敵弾の威力を相殺し、一部の高火力弾に対する戦車の防御力は実質的に倍増する。
しかし、出力不足のT-62MV Obr.2023の場合、防御力が強化される代わりに機動性が犠牲になる。もともとT-62は決してキビキビした足回りの戦車ではなかった。今や、その敏捷性はさらに低下している。