この短い戦闘は当初、特に大きな注目を浴びなかった。同州では、数個の旅団と連隊を擁するロシアの野戦軍が、アウジーイウカを守るウクライナ軍部隊への攻撃で数千の車両を投入している。ロシア軍がアウジーイウカの作戦でこれまでに失った戦車や戦闘車両は数百両にのぼり、おそらく数千人の兵士が犠牲になった。
だが、ウロジャイネ郊外の戦場から撤退したロシア軍は、少なくとも1つの興味深い置き土産を残したようだ。それは、無傷のBMP-1AM歩兵戦闘車(IFV)だ。ウクライナ軍の第58旅団は、重量15トン、乗員と歩兵合わせて11人が乗り込めるBMP-1AMの写真をソーシャルメディアで披露した。
明確にしておくと、ロシア軍の第37旅団が23日にBMP-1AMを放棄したと断定はできない。そうでないとすれば、その直前だっただろう。10月上旬にネット上に出回った同旅団をとらえた写真には、これと同じ車両、あるいは似たような車両が写っていた。
BMP-1AMは、1960年代に数多く生産されたBMP-1の希少な派生型の1つだ。BMP-1は古いにもかかわらず、ロシアがウクライナに仕掛けた1年9カ月に及ぶ戦争で、ロシアとウクライナの双方で最も多く使われている戦闘車両の1つとなっている。旧ソ連は装甲の薄いBMP-1を何万両も生産した。
06 October 2023
— Naalsio (@naalsio26) October 8, 2023
Russian-occupied Volnovakha Raion, #Donetsk Oblast, #Ukraine
Russian BMP-1AM with interesting camouflage, anti-drone cage, and slat armour.
The the tactical marking on the ZiL-131 in the background indicates that both vehicles belong to Russia's 37th Separate… pic.twitter.com/oq1uPqGsOS
2018年に初めて公開されたBMP-1AMの主な特徴は、装輪式IFVのBTR-82Aから借用した30mm機関砲だ。ロシアの産業界はBMP-1AMが輸出限定となると予想していたが、ロシア政府は2019年に自軍向けにBMP-1AMを発注した。
2020年時点でロシア軍が保有するBMP-1AMはわずか37両だった。その後、昨年2月にウクライナに侵攻するまでの間にロシアが何両生産したかはわからない。数十両かもしれないし、もっとたくさんかもしれない。いずれにせよ、ウクライナでの1年9カ月に及ぶ激戦の末、ロシア軍は少なくとも32両のBMP-1AMを失い、これとは別にウクライナ軍は8両をほぼ無傷な状態で鹵獲(ろかく)した。
このペースでいくと、ウクライナ、ロシア両軍が機能するBMP-1AMを同数保有するということもあるかもしれない。ウクライナ軍のBMPを運用する能力は疑わなくてもいい。ウクライナ軍全体で広く使用されていないBMP-1AMの部品はない。
(forbes.com 原文)