欧州

2023.11.22

アウジーイウカ突撃のロシア兵、守備部隊による「砲撃競争」の餌食に

ドイツ製PzH(パンツァーハウビッツェ)2000自走りゅう弾砲。2016年8月、リトアニアのパブラデで(Filmbildfabrik / Shutterstock.com)

ウクライナが寒くてじめじめとした季節に入るなか、ロシア軍は何らかの「戦勝」を得ようと躍起になっている。冬季の戦闘停止は長引きかねないので、本格的な冬が到来するまでに、たとえ結果と釣り合わないほど大きな犠牲を払ってでも、何らかのかたちの「勝利」を収めたいという魂胆のようだ。

ロシア軍が目標に据えたのが、ウクライナ東部ドネツク州にあるウクライナ軍の防御拠点、アウジーイウカだった。この町は、ロシア軍の占領下にある同州ドネツク市のすぐ北西に位置している。

しかし、アウジーイウカ周辺に展開しているロシア軍の第2諸兵科連合軍やその他の部隊には、ひとつ問題があった。アウジーイウカで最も脆弱(ぜいじゃく)な北面に対する攻撃の開始地点に入るには、ウクライナ軍のドローン(無人機)や大砲に狙われやすい数kmのキルゾーン(撃破地帯)を抜けていく必要があるのだ。

ウクライナ軍の有名な砲兵指揮官、コールサイン(無線通信時のニックネーム)「アーティ・グリーン」が、アウジーイウカの戦いを楽しんでいるらしいのはそのためだ。ロシア軍は6週間前に始めたこの戦闘で、途方もない損害を出しながら、ごくわずかしか前進できていない。

アーティ・グリーンは最近のインタビューで、こんな「秘密」を明かしている。「味方の旅団同士で競争をしているんです。われわれがある目標に砲撃するとしましょう。すると隣の旅団も砲撃を始める。続いてまた別の旅団も」

アウジーイウカ方面では、百戦錬磨の第110独立機械化旅団西側製のハイテク装備を誇る第47独立機械化旅団をはじめ、ウクライナ軍の6個旅団ほどが防衛している。第43独立砲兵旅団と第55独立砲兵旅団が機械化歩兵部隊を支援しているもようだ。

アウジーイウカの北側では、廃棄物の山とステポベという集落がウクライナ軍の防衛上、重要な場所になっている。これらの防御陣地に攻撃を仕掛けるには、ロシア軍部隊は道路を進み、開けた農地や平原を越えていく必要があるが、その際に激しい砲撃にさらされることになる。「破滅的」と言っていいほどの激しさだ。

「この方向から前進してくるどの縦隊も、わが軍の数個旅団の射程内に入ります」とアーティ・グリーンは語っている。ウクライナ軍の守備隊は近づいてくるロシア軍部隊のかなり近くにいるから、最も射程の短い火砲でも狙うことができる。アーティ・グリーンによれば「迫撃砲や旅団レベルの戦術火砲の射程内に入る」という。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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