欧州

2023.11.23 10:00

ロシア軍、お粗末な「フランケン車両」に改修施す

MT-LB装甲けん引車(AndrejSK / Shutterstock.com)

MT-LB装甲けん引車(AndrejSK / Shutterstock.com)

ロシア軍の最も雑な造りの装甲戦闘車両が進化している。ロシアメディアが最近、ウクライナ軍の拠点がある東部ドネツク州アウジーイウカで繰り広げられている残酷な戦闘について報じた際の映像には、上下2連装25mm機関砲を装備した古い2M-3艦載砲で武装している古いMT-LB装甲けん引車が少なくとも1両映っている。

この「MT-LB-2M-3」は以前にも、その製造が行われているとみられる作業場の外に置かれていたものが目撃されていた。出来上がったMT-LB-2M-3は列車でロシアからウクライナの紛争地帯へ運ばれ、ロシアの占領地で民間の建設作業員の警護役を担った。ロシア軍のために塹壕(ざんごう)を掘るのに忙しかった作業員を、ウクライナ軍のドローン(無人機)から守るためだったようだ。

だが、最近の報道映像で見られたMT-LB-2M-3は、類似車両の大半とは異なっている。2M-3の砲は、MT-LBの車体と近い高さにある。言い換えると、砲塔は車両とある程度一体化している。

これは、約700gの砲弾を毎分300発、約2.3km先まで飛ばすことができるはずの自作のMT-LB火力支援車に施された変更だ。

ロシア軍は今年春、保管されていた古い車両や砲塔を組み合わせてこの奇妙な車両をこしらえ始めた。1年10カ月近くに及ぶウクライナでの戦争で増大し続ける近代的な戦闘車両の損失を埋めるための必死の取り組みであることは明らかだ。

まるで小説『フランケンシュタイン』の怪物のようなこの車両は、一時しのぎのものだ。そして、その設計は緊急性を反映している。

ほとんどの車両では、1950年代に生産されたMT-LBと、さらに古い2M-3砲塔の統合は、最小限にしか行われていない。技術者たちは、液圧装置や電気系統を統合することなく、またMT-LBの重心バランスを調整することもなく、重量2トンの砲塔をMT-LBに溶接したりボルトで固定したりしているようだ。

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翻訳=溝口慈子

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