もしウクライナ軍が今年、満を持して始めた反転攻勢ですべての目標を達成していたなら、雪が降るこの時期に、この戦車はロボティネにいなかっただろう。居場所は、そこから南へ65kmほどに位置する都市メリトポリだったはずだ。
一方で、写真で確認されたチャレンジャー2の健在ぶりは、ウクライナ軍が今も、自軍にとって新しい装備である西側製兵器の大半を保有していることを思い起こさせてくれた。もしウクライナ軍が戦場の状況を変えることができれば、再びメリトポリへの進撃を試みることもできるはずだ。
⚡️The 🇬🇧British Challenger 2 tank is in service with the Armed Forces of 🇺🇦Ukraine pic.twitter.com/qjjKMy02Do
— 🇺🇦Ukrainian Front (@front_ukrainian) December 5, 2023
6月8日、ウクライナ軍の第47独立機械化旅団がザポリージャ州の集落マラトクマチカの南方面を攻撃し、今年の反転攻勢の中心となる作戦を開始した時、そこから南へ8kmほどのロボティネを24時間以内に解放するのが目標だった。
ところが、実際は10週間かかった。最大の原因は、ロシア側がマラトクマチカからロボティネの間に設けた地雷原が、ウクライナ側の想定よりもはるかに稠密だったことだ。第47旅団は最初の突撃で車両を数十両失った。人的損失も数百人にのぼった可能性がある。
ワシントン・ポスト紙が最近、特集で詳細に報じているように、ウクライナ軍はロボティネを足がかりに、メリトポリまで一気に進撃する計画だった。
現実には、ウクライナ軍の反攻部隊は、ロボティネと隣の集落ベルボベを通るロシア軍の主要塹壕線の最外周を突破してからほどなくして、ロボティネで足止めされることになった。
ひどく損耗した第47旅団とパートナーの第33独立機械化旅団は、8月に第82独立空中強襲旅団が投入されるまで、レオパルト2戦車で攻撃を主導していた。その後ようやく、疲弊した部隊を休息させたり車両を修理したりする時間を得られた。
英国から供与されたチャレンジャー2全14両を運用しているのは第82旅団だ。この旅団はほかにも、米国製のストライカー装甲車やドイツ製のマルダー歩兵戦闘車など、ウクライナが西側から供与された兵器の中でも最高の部類に入るものを最も多く配備されている。
これらの車両は、ウクライナ軍の大半の旅団が現在も使っている旧ソ連製車両よりは高性能なものの、やはり地雷には弱い。重量69t、乗員4人のチャレンジャー2も8月下旬か9月上旬に、ロボティネ周辺で地雷にやられている。
動けなくなったレオパルト2は、ロシア軍の対戦車ミサイルの格好の目標になった。攻撃を食らって炎上し、砲塔に収められた120mm砲弾はクックオフ(火災や高熱による発火)したとみられる。乗員は戦車が焼け焦げる前に脱出したと伝えられる。