2022年から23年にかけての冬、ロシア軍の攻撃は地上や黒海の艦船、戦略爆撃機から発射する巡航ミサイルや弾道ミサイルで行われた。データから推測するに、ロシアはいま、侵攻前に備蓄していた膨大な数のミサイルをほぼ使い果たし、新たなミサイルを受け取るなりすぐさま使用する状態となっている。だがここ数カ月の空からの巡航ミサイル攻撃は小康状態だ。これは大規模な攻撃のためにミサイルを蓄えている可能性があることを示唆している。
今年、攻撃の大部分はドローン(無人機)で行われる可能性が高い。
シャヘド2.0
イランはロシアに自爆型ドローンのシャヘドを2000機以上提供し、ロシアはその名称をゲランに変えた。そして今年、ロシアはパーツなど一式がそろったキットからのゲラン組立を開始した。ロシアは自前のシャヘド生産ラインの立ち上げにかなりのリソースを投入している。英軍事情報によると、ロシアは現在、国内でシャヘドを生産しているという。「ロシアは現在、運用経験に基づいて、片道攻撃用無人航空機(OWA UAV)の設計に改良を加えようとしているのはほぼ間違いない」と英国防省はX(旧ツイッター)で指摘した。
最も明白な改良点は、シャヘドの表面を黒く塗ったことだ。これは単に夜間に見つかりにくくするためかもしれないが、ウクライナ軍の情報筋によると、さらにステルス化し、これまで以上にレーダーに捕捉されにくくなるかもしれないという。
⚡️ In the downed 🇷🇺Russian kamikaze drone Shahed, a new type of warhead with a mass of almost 40 kg of thermobaric charge with three detonators was discovered - 🇺🇦Ukrainian military Serhiy Flesh
— 🇺🇦Ukrainian Front (@front_ukrainian) December 3, 2023
This charge can destroy a residential building. The expert notes that this is an… pic.twitter.com/v3tqxmNFxM
だが、サーモバリック弾頭は破片を撒き散らさないため、標的を破壊する範囲は通常の高性能爆弾や破砕弾頭より狭い。だからこそロシアは主に、要塞や掩蔽壕(えんぺいごう)、防御が施された建物を破壊するためのTOS-1多連装ロケット発射機のような専用の兵器でサーモバリック弾を使用している。