このほどSNSに投稿された写真には、ブロック状の爆発反応装甲(ERA)が張り付けられたロシア軍の軍用トラックGAZ-66が写っている。
ERAではトラックを保護できない。むしろ、ERAは弾丸が命中すると、ほぼ間違いなくトラックを破壊してしまう。
これは、ERAが爆発することで装甲として機能するためだ。弾丸がERAに当たると、内部の爆薬の層が反応する。ERAは外側に向けて爆発し、弾丸の爆発による内側への爆風を部分的に相殺する。
ERAはあらゆる種類の弾丸に効果的であるわけではないが、特定のものに対しては車両の防御力をおよそ倍に高めることができる。例えば、りゅう弾に対してはかなりの効果を発揮する。ロシア軍、ウクライナ軍の双方が多くの車両にERAを追加しているのはそのためだ。
だが、両軍が通常ERAを追加しない種類の車両がある。例えば、ジープやトラック、移動式のりゅう弾砲、防空車両だ。
これには相応の理由がある。これらの車両はすべて、薄い金属で覆われている。そのため、ERAの追加は実用的ではなく、逆効果ですらある。
米議会予算局(CBO)は2012年の報告書で「ERAの爆発に耐えるためには、ベース部分にかなりの装甲が必要だ」と説明。「したがって、すべての車両にERAは追加できない。適さない車種の一例としてはトラックが挙げられる」とも指摘した。
トラックに張り付けたERAが爆発すれば、飛んできた敵弾と同じようにトラックを破壊してしまうかもしれない。
写真に写ったGAZトラックの乗員は、ERAの基本的なリスクは一応理解しているようだ。ERAの下に薄い金属板を追加しており、それがERAの爆発からトラックを守ってくれることを期待しているとみられる。
だが、追加している金属板の厚さが十分でなかったり、使用されている金属の質が防御として機能するには適切ではなかったりするかもしれない。「これらのトラックには本来の装甲が備わっていないため、ERAの張り付けは危険で効果がない」と独立調査機関のコンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)は指摘。「写真ではERAブロックの下に装甲のための薄い小さな板が見えるが、危険で効果がないという結論は変わらない」とも説明している。
ロシア軍がトラックに張り付けたERAを作動させるためには、ウクライナ軍はトラックに弾丸を着弾させるだけでいい。着弾すれば、トラックはウクライナ軍の期待通り自爆するだろう。
(forbes.com 原文)