ロシア空軍の主要なヘリ基地はドニプロ川の南40kmに位置するヘルソン州チャプリンカにあり、間もなくウクライナ軍のドローン(無人機)やロケット発射機の射程内に入りそうだった。ヘリを守るため、ロシア軍は前線からさらに遠くにある、複数の小さな秘密基地に分散させた。
ウクライナ軍は今、それらの秘密基地を見つけて攻撃している。だが、長距離兵器の不足により急襲の回数が減る可能性がある。
狙いをしっかり定めた少数のミサイルが壊れやすいヘリに与えるダメージは驚くべきものだ。ウクライナ軍は秋に米軍の古いM39「ATACMS」弾道ミサイル約20発を受け取った。その直後、南部ザポリージャ州ベルジャンシクと東部ルハンスク州にあるロシア軍のヘリ基地に向けて、重量2トン、射程約160kmのM39を数発発射し、20機ほどのヘリを破壊したり、ひどく損傷させたりした。
M39は手りゅう弾サイズの子弾を1000個近くばら撒き、そのうちの1つでも着弾すると精密なヘリを使い物にならなくすることができる。
南部でこうしたリスクを軽減するため、ロシア空軍はチャプリンカを拠点とするヘリの一部を、ドニプロの前線から約160km離れたクリミア近くのアラバト砂州にあるリゾート地ストリルコフに移した。
ウクライナの調査グループ「フロンテリジェンス・インサイト」が衛星画像を分析し、ビーチリゾート内のフェンスで囲まれた発着場からおそらく20機のヘリが飛んでいる証拠を見つけた。同グループは「チャプリンカ空軍基地からの退避と移転は、狙われるかもしれないという懸念から、ロシア軍が新たな秘密の基地を設ける必要に迫られていることを示している」と指摘した。
だが、ウクライナ軍は独立系アナリストが入手したものと同じ画像にアクセスでき、さらには北大西洋条約機構(NATO)が提供するより信頼できる軍事画像や、無線傍受などの他の情報指標にもアクセスできる。ウクライナ軍はもちろん、ストリルコフの基地を発見した。
伝えられたところによると、ウクライナ空軍のスホーイSu-24M爆撃機は11月初め、ストリルコフの司令部に向けて巡航ミサイルのストームシャドーを発射。その1カ月後の12月5日には、ウクライナの情報機関が自爆型ドローンを基地に向けて飛ばし、P-18レーダーや防空ミサイルシステム、ヘリパッドを攻撃したと報じられた。