AI

2023.12.05

「次世代のゲーム、どう面白くなる?」 AI、メタバース、空間コンピュータがゲームに起こす革命

次世代のゲーム体験はどうなるんだろう。

ゲームシーンの映像自動リアルタイム生成だけではなく、キャラクターにも生命が吹き込まれる。そして、ユーザーごとに体験が変わる。そのような未来が身近に感じられるこれからのゲーム体験の中で私たちは何を思い、どのような感情が芽生えるのだろうか。

そして、それは今までのゲームと同じゲームと言えるのか。
 
そのような疑問が芽生え、ゲームAIの第一人者東京大学の三宅陽一郎氏と、テクノロジーカンパニーでユーザー体験デザインを得意とするIBM岸本拓磨氏の二人に話を伺った。
 
濃厚な60分の取材を終えて見えてきたのは、ゲームがディスプレイから溶け出して物理空間にとろりと溶け込んでいく世界だ。そこには、ゲームの世界から飛び出したエージェントが私の分身として存在している。しかもその世界は私が生成AIで作り上げたオリジナルの世界だ。
 
三宅氏が東京大学で研究しているサイバーとフィジカルの間である「インタースペース」、岸本氏が注目しているメタバース空間に新たなゲームの胎動が聞こえる。

野生味のあるデジタル空間

面白いのは「ゲームの未来」について取材をしにきたのだが、そこで語られていたのはコンテンツの話ではなく、ゲーム空間そのものが変わるということだった。
 
三宅氏はサイバー空間と物理空間の間にある中立空間が今後の鍵となると語る。この中立空間は、メタバースと呼んでも良い空間だ。デジタルツインの延長上の空間と捉えても良いだろう。この中立空間にAI時代のゲームの可能性があるというのだ。
 
三宅:「オンラインゲームをやっている人は、すでに「週末遊びに行こう」という時に箱根のようなフィジカル空間ではなく、ゲーム空間内に遊びにいくという楽しみを持っています。それを今後はゲーマー以外の人も味わえるようになると思うのです。そのような、物理空間だけではない第二の空間(中立空間)を持つようになると、そこには様々なサービスが現れるようになりビジネスも生まれ、また、人生も豊かになると思うのですよね」
 
三宅氏はこの中立空間の例としてロブロックスやフォートナイトをあげた。ロブロックスは生成AIを活用して、ユーザーにクリエイティブ領域を開放しており、フォートナイトはUEFN(Unreal Editor For Fortnite、フォートナイト内で自分のコンテンツを作れる仕組み)でクリエイターがワールドを作る環境を提供する。既存のゲームのようにゲームプロバイダーが作り込んだコンテンツをユーザーが享受するだけではなく、チャットをしているだけでも楽しい空間や、ユーザー自らがクリエイティビティを発揮できる場所が今後必要になると語る。そして、その中立空間の主役はクリエイティブ産業ではなく、ユーザーであると三宅氏は断言する。
次ページ > ゲーム制作の民主化

文=西村真里子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事