暗号資産

2023.11.28

韓国のWeb3業界最前線! なぜ韓国では暗号資産投資熱が高いのか?

Catalyze Research 最高戦略責任者のJosh Kim(ジョッシュ・キム)氏 Courtesy of the Author

日本ではWeb3が政府の成長戦略に盛り込まれ、世界のWeb3業界における日本の国際的な地位を高めようとするモメンタムが訪れている。韓国でも2023年9月に毎年恒例のWeb3国際カンファレンス「Korea Blockchain Week」が開催され、Web3業界は引き続き盛り上がりを見せている。しかし、その実情は外からでは分かりにくいところもある。

今回、韓国のWeb3コンサルティング企業「Catalyze Research」の最高戦略責任者Josh Kim(ジョッシュ・キム)を招き、韓国におけるWeb3業界最前線について話を伺った。第1回目の今回は、Web3の中でも、韓国における暗号資産市場にスポットライトを当てる。韓国は米国に次いで暗号資産の取引が活発であり、一人当たりの暗号資産保有量も世界最高レベルである。その背後にある社会心理とは。



吉川:ジョッシュ・キムさん、今日は韓国のWeb3業界についてのお話をたっぷり伺いたいと思います。まずはCatalyze Researchがどんな会社か説明していただけますか?

ジョッシュ・キム(以下、キム):Catalyze Research(以下、Catalyze)は韓国の第一世代のWeb3コンサルティング企業です。17年にBinance(バイナンス)とコラボレーションしたのを契機に、それ以降、十数のパートナーや顧客にWeb3分野のコンサルティングサービスを提供してきました。サービスには、中長期の戦略策定、オンチェーン/オフチェーンのデータ分析、市場参入戦略などが含まれます。現在は、Ripple(リップル)とパートナーシップを組んで、XRP Ledger(レイヤー1のパブリックチェーン)の韓国における普及に向けたイニシアチブを推進しています。私はアーンスト・アンド・ヤング(EY)でデジタルコンサルタントを務めたのち、現在はCatalyzeで戦略や事業開発方面での支援をしております。

吉川:早速ですが、韓国におけるWeb3および暗号資産業界の現状についてどうみていますか?

キム:今、韓国のWeb3業界で最もホットな話題は「Institutional Adoption(企業による導入)」です。韓国で有名な上場企業のほとんどがWeb3およびブロックチェーンの新規事業のための部署を有しています。企業によるブロックチェーンの導入は活発ですが、同時に、一般消費者の関心や導入も高くなっています。韓国金融情報分析院(FIU)の昨年の調査によると、韓国国民の3割(約1500万人)が暗号資産サービス業者(とりわけ暗号資産取引所)のユーザーであり、11.3兆ウォン(約83億ドル、約1.2兆円)の日次取引高があり、法定通貨ベースのビットコインの取引量では米ドルに次いで世界第2位の取引量を誇っています。
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文=吉川絵美

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