ジェネレーティブNFTとは、アルゴリズムを用いて様々な画像パーツをランダムに組み合わせ、自動生成されたNFTのことだ(*1)。今回ファン・サポーターをモチーフとして、「スタジアムで共通のユニフォームを着てクラブを応援する」といったカルチャーをデジタル上でも表現できるように、またSNSをはじめとするデジタルの世界で「アイデンティティ」として機能し、クラブを応援するサポーターがつながりを感じられるように、と開発された。
パートナーとして企画開発を担ったフィナンシェ(*2)によると、「新時代のデジタル応援アイテム」との位置付けで、今後さらに様々な競技のチームに展開していく計画だというが、苦戦が続いてきたスポーツNFTの新たな潮流となるか──。
アビスパ福岡は公式ジェネレーティブNFTの発行、セレッソ大阪はその販売を行うことが日本プロスポーツ初とされている点であり、両チームそれぞれのジェネNFT活用の狙い、特徴をみてみよう。
(*1)記事内の「ジェネNFT」「生成NFT」も同義とする
(*2)ブロックチェーンを活用したトークン発行型クラウドファンディングサービス「FiNANCiE」の運営会社
「サポーターが主役」のAvispa Supporters NFT
アビスパ福岡といえば、前述のフィナンシェとともに日本初のスポーツDAO(*3)を発足させるなど、Web3を活用した取り組みに力を入れている。今回の公式ジェネNFT「Avispa Supporters NFT」も、そのAvispa Fukuoka Sports Innovation DAO(アビスパDAO)におけるプロジェクトの一環として、トークン保有者に9月21日に配布(*4)された。(*3)Decentralized Autonomous Organizationの略。分散型自律組織と呼ばれ、従来の中央集権型組織とは異なり、メンバーによって自律的に運営されるコミュニティの意
(*4)2023年9月19日 18:00時点におけるトークン保有数によって配布
特徴は、サポーターを主役にしたキャラクターデザインだ。
アビスパDAOのガバナンス投票によって決定された「10デザインの歴代ユニフォーム」やDAOメンバーから募集した「アビスパならではのアイテム」などを構成パーツとして、独自のプログラム処理で自動生成された、世界に1枚だけのNFTアートだ。
リビール(*5)という、ジェネレーティブNFT特有の演出も取り入れられた。手元に届いた時にはパッケージされたトレカのような画像で中身がわからない状態だが、数日後に実際の絵柄へと変わる、ファン心をくすぐる仕掛けだ。
(*5)NFTの絵柄を明らかにすること
こうして手にしたジェネNFTは、SNSのアイコンに設定したり、額装して部屋に飾ったり、自分だけのオリジナルグッズを作ったり、と自分だけの特別なアートワークとして、楽しむことができる。NFT保有者には、アートワークの個人利用ライセンスが付与されている。
今後は、このAvispa Supporters NFTの画像がスタジアムに登場したり、グッズとの連動といった「デジタルとリアルを融合したファン体験」の創出や、スタジアムがメタバース化された際のアバターに昇華させるなど、アビスパ福岡を応援する多様な楽しみ方を構想しているという。