新時代のデジタル共創コミュニティ「スポーツDAO」との掛け合わせもカギ
国内スポーツ初の公式ジェネNFTが、DAOから発行されたことも見逃せないポイントだ。このスポーツDAOの話にもしばしお付き合いいただきたい。アビスパ福岡は、もともとFiNANCiEで2021年8月からアビスパトークンを発行し、コミュニティを運営していたが、実施するプロジェクトの範囲を広げ、トークンホルダーにもさらに運営や意思決定に参加してもらいたいと考え、トークンコミュニティをリニューアルする形で、アビスパDAOを2月に発足させた。
FiNANCiE上で運営されるスポーツDAOとこれまでのトークンコミュニティの違いは、一言で言うと、トークンコミュニティがファンの集いであるのに対して、スポーツDAOは一緒に事業を作るパートナーが集まるコミュニティで、言わば、新規事業開発のバーチャル部署を持つイメージなのだという。
「一つの目標に向かって、対等な立場のメンバー達がそれぞれの形で貢献する組織」を構築できる点が特徴で、様々なバックボーンやスキルを持ったメンバーと一緒に、新たな価値共創を目的として、コミュニティを育てていくことをコンセプトとしている。
現在4クラブがこのスポーツDAOを設立しており、アビスパDAOの場合には「Web3×スポーツのイノベーションモデル共創」、JリーグJ2・ザスパクサツ群馬のザスパ共創DAOは「オール群馬で関係人口創出」、BリーグB1・佐賀バルーナーズのDAOは「若者活躍推進」、JリーグJ3・アスルクラロ沼津のDAOは「静岡県東部の魅力発信」といったように、それぞれ独自のビジョンを掲げ、プロジェクトを展開していく。
個人はもちろん、企業や自治体など、幅広くステークホルダーを巻き込みながら、共創型でプロジェクトを進めていくことができるのも大きなメリットだ。
また、選手もアンバサダーとして、一緒に取組みを盛り上げている。
アビスパDAOには、永石拓海、湯澤聖人、金森健志、小田逸稀、紺野和也、中村駿、田邊草民、三國ケネディエブス、前嶋洋太、鶴野怜樹といった選手たちが参加しており、9月に設立されたばかりの佐賀バルーナーズDAO「BALLOON FLYING FRIENDS」でも井上諒汰、岸田篤生の2選手がアンバサダーに就任している。
スポーツDAOスタート時にはクラブが率先してメンバーを巻き込むことが重要で、選手たちもその役割を買って出ているということだろう。
アビスパDAOでは発足から半年ほどにもかかわらず、メンバーは現在700人を超え、クラブ主体のフェーズを離れて、DAOメンバーから選定されたモデレーターを中心に、プロジェクトが機能し始めているという。
DAOの運営ではメンバーによる「共創」「貢献度」がポイントとなる。
長くなってしまったが、つまり、「サポーターが主役の公式ジェネNFT」は、ともに共通の目的に向けて共創していくという密接なコミュニティであるスポーツDAOにおいても、メンバーとしてのアイデンティティを高め、サポーター同士をつなぐアイテムとして期待されている。
逆もまた然りで、そうしたコミュニティの存在によって、このジェネNFTはより一層の価値を発揮するのであろう。