クラブチームにおいて、またスタジアムやアリーナ建設が計画される際に必ず挙げられる、スポーツ界最大の課題の一つだ。
これまで長きにわたり様々な試みが重ねられてきたが、今年台頭してきたNFTやファントークンは、まさに待望のソリューションかもしれない。コロナ禍でも期待できる新たな収入源として、日本でも取り組みが加速してきた。
これらをいち早く導入したチームは、その価値をどのように見ているのだろうか。
サッカー・ベルギー1部リーグのシント=トロイデンVV(STVV)の村田晋之佑氏、JリーグJ1湘南ベルマーレの加藤謙次郎氏、神奈川県社会人サッカーリーグ2部・鎌倉インターナショナルFC(鎌倉インテル)の四方健太郎氏が8月に開催された「スポーツビジネスアカデミー(SBA)THE BASE」に登壇、先駆者としての実績や経験を語った。
ファシリテーターは、スポーツ界を代表する弁護士の山崎卓也氏、日米スポーツビジネスに精通する鈴木友也氏。
試合日にしか儲からない、を打開
「サッカークラブが一番苦しいのは、試合日にしか儲からないこと。選手が試合日に稼働しない限りバリューがない。この収益構造をどうにかして変えていきたいと思いました」(STVV・村田氏)
世界初のファン投票&報酬プラットフォーム「Socios.com」で昨年12月にファントークンを発行し、今年10月に日本発のマーケットプレイス「Digitama」でのNFT販売を開始したSTVVで事業開発マネージャーを務める村田氏は、365日24時間ソフトウェアが人間の代わりに稼働してくれる、インターネット関連の会社で働いてきた。
「試合がない日の儲け方」を模索する中では、日本産食材のヨーロッパ流通を支援するなど、スポーツクラブの枠を越えた事業にも取り組んできた。だがこれらはクラブが持つIPアセット(知的財産)を活用してはいない。そこで目をつけたのがファントークンだった。
STVVは、所属するベルギーリーグに外国人選手枠がないため、多国籍な選手を抱えている。日本人選手をはじめ、ハイチ、ベトナム、韓国などから祖国でも人気のある選手を獲得してきた。
「ファントークンを発行すれば各国にリーチできて、エンゲージメントが高い形で継続的に購入、利用していただけるのではないだろうかと考えました」
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サッカー界でファントークンにいち早く取り組んだのは、ユベントス、パリ・サンジェルマン、バルセロナなど、世界的に人気の高いクラブばかり。認知度の低いクラブに対して仮想通貨(暗号資産)投資家の間でも興味を持ってもらえるか、大きなチャレンジだった。
「大きな市場である日本、またトルコやポーランドなど盛り上がりを見せている地域それぞれに適切なアプローチを持って臨みました。オープンプライス2ドルで始めたところ、一時期50ドルくらいに到達しました。流動性が低いという課題がありましたが、それを調整しつつ固定ホルダーに楽しんでもらう特典を増やした結果、価格も落ち着いて、8月時点では70%ぐらいは3カ月以上持ってくれている状態です」(STVV・村田氏)