スポーツNFTは次のフェーズへ。國光宏尚 x 澤邊芳明「ボッチャトークン」対談

フィナンシェCEOの國光宏尚氏とワントゥーテン代表の澤邊芳明氏

一時はアートやゲームなどの主要カテゴリを抑え、半年間で30万ものコンテンツが販売されるほどのバブル的な盛り上がりを呈したスポーツ関連のNFT。

しかし、現在はその火付け役となった「NBA Top Shot」の人気も落ち着きを見せ、業界は次のフェーズへと進む必要性に迫られているという。

そこで今回「NFTが切り拓くスポーツ業界の未来」をテーマに、日本ブロックチェーン協会の理事で、ファンエコノミー時代の新しいクラウドファンディング2.0サービス「FiNANCiE」を手がけるフィナンシェCEOの國光宏尚氏と、そのFiNANCiE上で日本ボッチャ協会のトークンを発行したワントゥーテン代表の澤邊芳明氏の対談を実施。

スポーツ業界の明るい未来を切り拓くために、二人は今後どのようなNFTの活用の仕方が重要だと考えているのだろうか。

いかに所有する意味や価値が見出せるコミュニティを設計できるか

國光宏尚氏(以下、國光):「NBA Top Shot」は始まったばかりのNFTサービスという物珍しさから最大瞬間風速的に盛り上がり、業界に一時的なバブルをもたらしましたが、現在はその鳴りを潜めています。また、日本でも「NBA Top Shot」の基盤であるブロックチェーン「Flow」を活用したスポーツ関連のNFT事業が開始されましたが、いずれも上手くいっていない印象です。

みんなが一つ勘違いしてしまっているのは、ただの静止画や動画をNFTにして、「これは価値があるものです」と謳っても、誰も欲しいとは思わないということ。NFTにしてもFT(代替性トークン)にしても重要なのは、所有することで意味の生まれるコミュニティを創出することなんです。

澤邊芳明氏(以下、澤邊):なるほど。具体的な事例をあげて、説明してもらえますか。

國光:例えば、子どもたちに人気のポケモンカードってあるじゃないですか。あれはカードそのものに価値があるのではなくて、ポケモンカードを所有する子どもたちによってコミュニティが生み出されていて、その中でレアなカードを持っていると、みんなから「すごいね!」って言われることに価値があるんです。

澤邊:僕らが子どもの頃にもビックリマンシールやプロ野球チップスのカードが流行って、レアなカードを持っていると自慢できましたが(笑)、そんなイメージですか?

國光:そうそう、まさにそれです。現代アートやスポーツカー、スニーカーやワインなんかも同じだと思うんですが、自己満足のために高いお金を払ってコレクションしようという人はほとんどいなくて、大半の人はその所有者たちのコミュニティの中でドヤれたり、注目を浴びたりできるから買い集めようとするわけです。どんなコレクション文化でも、市場だけが存在していて、コミュニティが不在という例は存在しないはずなんですよ。

「NBA Top Shot」やその事例を活用した日本での取り組みが上手くいかなかったのは、NFTの販売ばかりに力を入れ、コミュニティづくりが疎かになってしまったことが原因だと思っています。

フィナンシェCEOの國光宏尚氏
フィナンシェCEOの國光宏尚氏

ファンとNFTコミュニティは別物

澤邊:でも、それで言うと、NBAはもちろん、どんなプロスポーツリーグにもチームごとにファン・コミュニティというものは存在しているはずなんですが、NFTサービスとは結びつかなかったということなんでしょうか。

國光:NBAファンとNFTコミュニティはまったくの別物ですし、NBAファンとひとくちに言っても、その中にはいろんなコミュニティが存在するはずなんです。ある特定のチームが猛烈に好きという人たちもいれば、選手たちが履いているレアなバスケットシューズが好きという人たちもいる。

なので、コミュニティをしっかり細分化して捉えたうえで、そのコミュニティ内の熱量を上げるようなNFTの活用の仕方を考えるのが重要になってきます。
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文=高柳淳(パラサポWEB)

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