スポーツNFTは次のフェーズへ。國光宏尚 x 澤邊芳明「ボッチャトークン」対談

澤邊:それと國光さんが先ほどからおっしゃっているコミュニティの話で言えば、掲示板を活用したやりとりなどにより、協会とファンの方たちとの双方向のコミュニケーションが生まれ、コミュニティ内の盛り上がりも可視化できるようになりました。これまでは協会側から一方的に情報を発信していただけだったので、受け手側のリアクションを知るすべはなかったんです。今回の取り組みを通じて、我々もボッチャを取り巻く関係人口が増えていっていることを肌で感じています。

日本ボッチャ協会を応援してくれているメンバーで月1回開催している、Finanncie上でのBラボMTG(おしゃべり会)の様子
日本ボッチャ協会を応援してくれているメンバーで月1回開催している、Finanncie上でのBラボMTG(おしゃべり会)の様子


國光:ボッチャトークンの価格変動についてはどうですか?

澤邊:やっぱり購入いただいたからには価値を上げ続けていきたいと思っています。幸いにもボッチャトークンは発行から今まで下がることなく、最近は上昇傾向にあるので、コミュニティの盛り上がりとトークン価格が連動しながらいい循環を生み出していってくれていますね。

國光:課題に感じていることはありますか?

澤邊:今、ファンの方たちとグッズを作ろうということで、投票などをしながらプロジェクトを推進しているんですが、コミュニティの活性化のためにこういったプロジェクトを自発的に生み出す仕組みの必要性を強く感じています。先ほどのDAOマネージャーの話につながると思うんですが、必要とされるテーマをコミュニティメンバーに周知し、推進していく運営者のような存在がやっぱり必要だなと。

國光:グローバルのWeb3のマーケットでは、参加するDAOのトークンをあらかじめもらい、自身がそのコミュニティを盛り上げることでトークンの価格上昇分を報酬として受け取るような人たちも現れているんですよ。その方が頑張れば頑張っただけ報酬が増えることになりますから、請け負う方もやりがいになりますからね。日本でもそんな人たちが増えはじめるといいですね。

澤邊:我々のコミュニティにもぜひ来ていただきたいです。

國光:やっぱり、これまでのようにスポーツの名シーンをただNFTにすれば買ってもらえるというステージは過ぎて、これからはNFTを活用したコミュニティづくりがカギとなると思うんです。それには純粋なスポーツファンと投資を目的とする幅広い層を巻き込めるコミュニティデザインが大切で、その設計を上手くできたチームや団体が明るい未来を切り拓いていけるということになるんじゃないでしょうか。

澤邊:まさにそこですよね。いい感じにまとめていただき、ありがとうございました。

純粋にチームや選手を応援したいという気持ちから生まれる“推し”の力は前々から非常に尊く、偉大なものに感じていたが、二人のやりとりからはNFTはその力をさらに推進、拡張させる技術であることを実感させてくれた。

クリアしなければならない課題はあるものの、スポーツ×NFTが切り拓く未来はきっと明るい、そう確信させてくれる興味深い対談となった。


國光宏尚(くにみつ・ひろなお)◎1974年生まれ。米国 Santa Monica College 卒業後、2004年にアットムービーに入社。同年に取締役に就任し、映画・テレビドラマのプロデュースや新規事業の立ち上げを担当。2007年にgumiを設立し、代表取締役社長に就任。2021年に同社を退任し、Thirdverseと2019年に共同創業したフィナンシェの代表取締役CEOに就任。著書に『メタバースとWeb3』(エムディエヌコーポレーション)がある。

澤邊芳明(さわべ・よしあき)◎1973年生まれ。1992年に京都工芸繊維大学入学後、18歳の時にバイク事故に遭遇。手足が一切動かない状態となる。復学後、24歳でワントゥーテンを創業。現在はXRとAIを強みに、総勢約120名からなる近未来クリエイティブカンパニー「1→10(ワントゥーテン)」を率いる。パラスポーツとテクノロジーを組み合わせた「CYBER SPORTSプロジェクト」や、日本の伝統文化をアップデートする「ジャパネスクプロジェクト」など、多くのプロジェクトを牽引。著書に『ポジティブスイッチ 絶望からの思考革命』(小学館)

文=高柳淳(パラサポWEB)

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