従来のスポーツビジネスの問題点を解消
澤邊:これまで話してきたように特定のスポーツやチームのコミュニティを強化できるのが、スポーツ業界にNFTを取り込む一つのメリットということがわかってきましたが、新しい収益源を確保できるのもNFTのもう一つの魅力ですよね。國光:これまでのスポーツビジネスの問題点は、ファンしかお客さんにできなかったことにあるんです。チームが根ざす特定の地域に住んでいて、チケットを購入して実際にスタジアムへ足を運んでくれる人たちだけがビジネスの対象だった。でも、NFTやトークンを活用することで、ビジョンに共感してくれる人なら全国どこにいてもターゲットにできるようになった。つまり、客層の幅を格段に広げられるようになったんです。
澤邊:FiNANCiE上でもそういった進歩を実感することはありますか?
國光:僕が特に面白いと感じているのは、すごく有名なスポーツチームだから多くのお金を集めることができるというわけではなくて、無名でもコミュニティを運営する人たちの熱意が伝われば、多くの資金を集められるというところ。
事実、鎌倉インテルさんという神奈川県の社会人2部リーグに所属*するサッカークラブや2021年に発足したばかりのジャパンサイクルリーグという競技団体は、有名なチームや団体でないにもかかわらず、FiNANCiEでのトークンの販売を通じて数千万円もの資金を集めています。
運営側が熱心だと、元々のファンの人たちはもちろん、投資目的の人たちも「これだけ熱意があれば、このチームや団体は今後大きく成長していくんじゃないか」と判断し、じゃあ購入してみようと思ってもらえるんです。
澤邊:しかも、そうやってコミュニティが盛り上がり、ファンが増えれば、発行時の販売益に加え、二次流通での販売手数料も収益として入ってきますよね。
國光:そうですね。ファンが増え続けている限りは、絶えず買い需要が高まるので、新しいファンが新たにNFTやトークンを購入しようと思うと、二次流通マーケットで購入することになります。その際の手数料は売っても買っても同じだけ入ってくることになるので、必然的に収益が増えることになりますね。
神奈川県1部リーグへの昇格を目指し、チームの強化や成長のためにトークンを発行する鎌倉インテル。FiNANCiEの「鎌倉インテルトークン」には1300名を越えるコミュニティが形成されている
※2022年12月19日現在
ボッチャトークンでも目標達成
國光:澤邊さんは実際にFiNANCiE上で日本ボッチャ協会のトークン(ボッチャトークン)を発行されましたが、やってみてどのような感想をお持ちになりましたか?澤邊:調達金額の話で言うと、今回のプロジェクトはテスト的な意味合いが強く、正直そこまで高いハードルを設けていなかったんですが、当初目標としていた資金額はきちんと集めることができました。まず、この点は成功だと思っています。