スポーツNFTは次のフェーズへ。國光宏尚 x 澤邊芳明「ボッチャトークン」対談

フィナンシェCEOの國光宏尚氏とワントゥーテン代表の澤邊芳明氏

澤邊:そうしたコミュニティづくりに成功しているNFTの活用例には、どんなものがあるんですか?

國光:世界的にも人気が高く、高額で取引されているNFTに「Bored Ape Yacht Club(ボアード・エイプ・ヨット・クラブ)」というコレクションがあるんですが、彼らが最初にやったのはこのNFTを所有している人だけが入れるコミュニティ(Discordのチャンネル)をつくることでした。

このコミュニティが掲げる目標は、イケてるNFTを買ってお金持ちになろうというもの(笑)。「これから流行りそうなNFTって何?」とか「どんなNFTを買ったら儲かる?」といったやりとりがされていたので、そうした情報を手に入れたい人たちがこぞってこのNFTコレクションを所有しました。つまり、このNFTはお金儲けを狙う投資クラブの会員券として機能したわけです。

あとは、世界的なDJとして知られるスティーブ・アオキさんが発行したNFTには、彼のイベントに優先的に入れる権利が付与されました。ファンの人たちにとってみれば、彼のイベントの前売りチケットを確実に手にすることができるわけですから、ぜひとも所有したいと思いますよね。

澤邊:たしかにどちらもコミュニティに入りたいと思わせるインセンティブが明確に提示されていますよね。スポーツのカテゴリでも、そうした成功事例はありますか?

國光:今、FiNANCiE上で行っている取り組みですと、スポーツチームやスポーツ選手が発行するNFTを所有すると、限定のグッズがもらえたり、限定イベントに参加できるという特典が人気を集めています。所有者だけの特別待遇を受けることにより、コミュニティの中で一目置かれるのはもちろん、限定グッズやイベントといった特典をもらえるメリットもあるわけですから、ファンにはたまらない見返りですよね。

澤邊:なるほど。今後のNFT活用のカギは、いかにNFTを所有する意味や価値が見出せるコミュニティを設計できるかにかかっているわけですね。

(左)レバンガ北海道がクラブのマスコットである「レバード」の誕生日を記念して限定発行したNFTでは、レバードの背番号と同じ14番のNFTを保有する人に、レバードの誕生日に手紙が届くという試みも (右)クラブのスター選手だった松崎圭介選手の引退の際に発行された、鹿児島レブナイズ史上初の背番号「41」の永久欠番決定を記念したメモリアルNFTの保有者には、松崎選手のオンラインスペシャルトークショーに限定参加できる権利が与えられ、人気を博した(いずれもFiNANCiE上での取り組み)(左)レバンガ北海道がクラブのマスコットである「レバード」の誕生日を記念して限定発行したNFTでは、レバードの背番号と同じ14番のNFTを保有する人に、レバードの誕生日に手紙が届くという試みも
(右)クラブのスター選手だった松崎圭介選手の引退の際に発行された、鹿児島レブナイズ史上初の背番号「41」の永久欠番決定を記念したメモリアルNFTの保有者には、松崎選手のオンラインスペシャルトークショーに限定参加できる権利が与えられ、人気を博した(いずれもFiNANCiE上での取り組み)

ファンと投資家、幅広い層を巻き込むコミュニティデザインを

澤邊:一方で、NFTには「購入したら価格が上がって売買益を得られるかもしれない」という投資的な側面もあるわけじゃないですか。今、いろいろなプロジェクトを見ていると、そういった側面ばかりがクローズアップされた“上場ゴール”のようなプロジェクトも多く見受けられるんですが、純粋にそのスポーツやチームを応援したいファンからすると、所有するNFTの価値が自分の意図しないところで下がってしまい、損した気分になると思うんです。

コミュニティに参加する権利を得ることが目的なら、いっそのこと、価格を変動させない方がいいんじゃなかという意見も出てくると思うんですが、國光さんはどのようにお考えですか?
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文=高柳淳(パラサポWEB)

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