NBA Top Shotで話題の「NFT」は、日本のスポーツビジネスも変えるのか?

(c) 2021 Dapper Labs, Inc. (c) 2021 NBA Properties, Inc. All Rights Reserved.

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今年に入ってからNFT界隈が喧しい。NFTバブルと言ってもいいような様相だ。

ツイッターのジャック・ドーシーCEOが、自身初のツイートを約290万ドルで売却クリスティーズでNFTに基づいたデジタルアート作品が約75億円という驚異的金額で落札などのニュースを最近耳にした覚えがある方も少なくないだろう。

日本でも、「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエストシリーズ」で知られるゲーム大手のスクウェア・エニックスが、ブロックチェーンアプリ開発企業doublejump.tokyo(ダブルジャンプトーキョー)と協業し、ブロックチェーン技術を活用したNFTコンテンツの開発を始めると3月17日に発表したばかりだ。

今後は、日本でもゲーム業界に限らず幅広くエンタメ産業全体がNFTコンテンツ化の対象になっていくだろう。

今回のコラムでは、特にNFTの中でも取扱量が多いNBA Top Shotを題材に、スポーツビジネスにおけるNFTの可能性や日本での普及への課題などを考えてみたい。

デジタル資産価値22億円超え「NFT億り人」も誕生


まず、NBA Top Shotの概要を説明しておこう。

NBA Top Shotは、NBAが「クリプトキティーズ」(CryptoKitties)などのブロックチェーンゲームを展開するDapper Labsと組んで昨年10月にベータ版をローンチしたデジタルカードのことだ。マニアな収集家をターゲットにしているため、「デジタル・コレクティブル」(Digital Collectibles)などとも呼ばれる。トレーディングカードのデジタル版と言えばイメージしやすいだろう。

ユーザは「Moment」と呼ばれる10~20秒程度の選手のハイライト動画が複数納められたパッケージを購入する。パッケージには「Common」「Rare」「Legendary」といった種類があり、それに応じて収納されている動画の希少性や販売金額が異なる。

動画はNFTとして販売されるためブロックチェーンにより所有権が証明され、ユーザはNBAが提供するマーケットプレイス(再販市場)で自由に売買できる。こうした動画パッケージは、新規に販売されるたびにあっという間に売り切れてしまうため、今では入手手段はマーケットプレイスが主流になっているようだ。

特に今年に入ってからの人気は凄まじく、米CNBCの報道によると、ローンチしてから今年2月末までの5カ月間で2億3000万ドルの取引が行われ、うち95%は再販だという。2月22日には、レブロン・ジェームズのハイライト動画が20万8000ドルで販売され、ウォールストリートジャーナルで、NBA Top Shotに半年で17万5000ドル(約2000万円)を投じた31歳の金融アナリストのデジタル資産価値が2000万ドル(約22億円)を超えたという “NFT億り人” の記事なども話題になった。

実は、私はBリーグのアドバイザーをしている関係もあってNBAの動きは逐一フォローしており、Top Shotがローンチされた際も特に深い考えもなく、売り出し直後の10月5日に約31ドル(約3400円)で8つの動画が同封された「Rare」パッケージを購入していた。

その後、そのまま寝かせていた(忘れていた)わけだが、Forbes JAPAN編集部から今回のコラム執筆を依頼された際にそれを思い出し、先ほど動画の売値をマーケットプレイスで見てみたところ、ザイオン・ウィリアムソンのアシストには何と最安値でも1895ドル(約20万8000円)の売値が付いていてびっくりした。どこまで上がるかもう少し手元に置いておこうと思う。


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文=鈴木友也 編集=宇藤智子

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