自身は生成AIにより強化され、分身としてエージェントが活躍される世界
さて、ゲームにAIが入ることによって変わるのは何か?三宅:「まず、エージェント。自分の代わりにどこかに行ってくれたり要件をこなしてくれたりする存在。本来はスマートフォンの中にもエージェントが居て良いと思うのですが、現在のスマートフォンはアプリが主流です。私のiPhoneには100個くらいアプリが入っていますが、理想を言えば、ここに一体だけのエージェントが居て欲しい。例えばiPhoneを開くと、タヌキのエージェントが居て、音声で「今日のニュース教えて」とか「◯◯さんどうしてる?」って聞いたら現状を返したり、先方のキツネのエージェントと話して「ディズニーランドに行って来たみたいですよ」のように自分の代わりにタスクをこなし、コミュニケーションをしてくれる。このエージェントベースという考え方は人工知能がずっと目指してきた世界です。かつてマイクロソフトのオフィス製品に入っていたイルカ、ソネットのポストペットのような存在がありましたが、あそこにAIを搭載し、プラグイン型で使いやすく展開するのも良いですよね。そうしたら、コンピューターに詳しくない方、おじいちゃんおばあちゃんも使いやすくなると思います。
たくさんのアプリは消えて、タヌキエージェントに、「孫の◯◯ちゃん今なにやっているかな?」と話しかけると、タヌキが「私が連絡しますね」と言って孫に問い合わせて返事をおばあちゃんに伝える。ここまで行くとAIの民主化と言えると思うのです。コンピューターは、1980年代に技術に強い特定の個人が使えるようになってから誰もが使えるようになるまで40年掛かって民主化されました。AIも20年で民主化されると考えています。」
三宅:「次に生成AI。自分の能力を拡張してくれるものであり、今まで一部の人達が握っていたクリエイティブ領域をユーザー一人ひとりが享受できるようになってきました。今までは、「みんな」をクリエイターにするのは難しかった。ロブロックスも結局は自分で作らなければいけなかったのが、今ではプロンプトでキャラクターなどが作れるようになった。クリエイティブの敷居が下がりました。
人間本人は生成AIで拡張されるし、分身としてエージェントもいる。タヌキと一緒にオンラインゲームやってもいいしエージェントお断りの世界を楽しむのも良い。今iPhoneの最新版を自慢し合うように、「俺のエージェントはこんなすごいんだぜ」とエージェント自慢し合うような世界も、長期的には実現しそうです。」