「マンデラ効果」は心理学の範囲を超えているのか
心を扱うさまざまな学術分野において、記憶があてにならないことはよく知られている。記憶は時間と共に薄れ、間違い、常に信頼できるわけではない。この合意された認識によって、私たちは過誤記憶というものを理解することができる。しかし、集合的過誤記憶という現象は、心理学や神経科学の知見の範囲を超えているようだ。マンデラ効果に関する多くの研究と同様、上記のPsychological Science誌の研究も、なぜ多人数の集団がこのような偽りの記憶を共有するのか、確かな理由を知ることはできない、と結論づけている。この知識のギャップが、マンデラ効果を理解しようとする人々をさまざまな道へと導いてきた。
ある研究は、マンデラ効果とシミュレーション理論とパラレルワールドの関係を深く掘り下げ、これはある種の「マトリックスの矛盾」の原因であると主張した。別の研究では、これを過誤記憶の典型例であるという説を維持し、ただ非常に大きく不可解なレベルで起きているだけだと説明した。しかし現時点では、マンデラ効果は心の科学がまだ説明することのできない奇怪な現象のひとつであると言えそうだ。
結論
マンデラ効果は依然として得体の知れない謎であり、私たちの理解の限界に挑戦している。従来からの説明を覆し、深い謎をその痕跡に残したままだ。この問題に取り組む研究は、説明し難いその特質の表面を引っ掻くだけにすぎない。本質を理解しようとする試みは、現在の科学的理解の範囲を超えたところにある未知の領域の存在をほのめかす、陰謀論のような理論を導くだけであるように思われる。そしてそれは、掴むことのできない特異事象を生じさせる人間の心の能力を証明するものである。(forbes.com 原文)