犬と猫、どっちを飼うのが幸せ? 心理学研究からわかること

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犬が人類最良の友であることは周知の事実だが、猫もまた素晴らしいペットになり得る。では、これまでの科学研究では、犬の飼い主と猫の飼い主でウェルビーイング(心身の健康や幸福)にどのような差があることがわかっているのだろうか?

心理学のオープンアクセス学術誌「Frontiers in Psychology」で2020年に発表された研究結果では、犬を飼っている人は、ペットを飼っていない人よりも自己肯定感が高い傾向があることが明らかになっている。対して、猫を飼っている人は、ペットを飼っていない人と比べて、自己肯定感がわずかながら低いようだ。これは、ペットを飼うこととウェルビーイングの関連に関する他の心理学研究結果と一致している。

もちろん、この研究結果をもってして、犬の飼い主と猫の飼い主の違いを巡る論争に終止符を打つことはできない。ただ、犬を飼うほうがウェルビーイングの向上により役立つ、という説が正当と思える理由は存在する。その理由を3つ紹介しよう。

1. 運動と社会的交流の促進

科学誌「PLOS ONE」で2019年に発表された研究結果によると、猫を飼うよりも犬を飼う方が、運動量が増加する傾向が強かった。他の研究でも同様の結果が出ている。

犬はとても活発な動物で、定期的に運動させる必要がある。よって、犬の飼い主のほうが、日常生活の活動レベルが高まる傾向にある。活動レベルが高まると、メンタルヘルスを含むウェルビーイング全般の向上に役立つのは周知の事実だ。

犬を飼っていると、早朝ジョギングに一緒に出かけたり、ドッグランに連れて行ったり、しつけ教室に入れたりと、何かと体を動かすことが多くなる。そのための外出や、知人と会ったり新しい知り合いができたりする機会も増える(いずれも、メンタルヘルス改善の一因だ)。犬好きという共通点のおかげで、自然と会話が弾み、社会的な絆や一体感も生まれやすくなる。

一方、猫は独立心の強い動物で、家の中で過ごすことを好む。独りで外を歩き回ることもあるが、人間が公園に連れて行く犬とは違う。自立して行動するため、犬と違って、飼い主の運動や人付き合いを促すことは少ない。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ・編集=遠藤宗生

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