過酷を極めた過去の対戦環境
アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国で2026年夏に共催される、次回W杯出場をかけた予選が、南米、アフリカ、アジアの3大陸で早くも始まっている。アジア大陸の日本代表は、4チームずつ9組に分かれて争われる2次予選から参戦。11月16日にミャンマー、21日にはシリア両代表に、ともに5-0で快勝した。この2次予選は来年6月まで行われ、各グループ2位までの計18チームが最終予選に進む。
連勝発進でグループBのトップに立った日本だが、次の2連戦でヤマ場を迎える。
日本は来年3月21日にホーム(日本)で、同26日にアウェイ(敵地)で北朝鮮と対戦。詳細はまだ発表されていないが、アウェイ戦の舞台が平壌となる可能性があるからだ。
両国の対戦成績は8勝4分け7敗と日本がわずかに勝ち越し、日本の19得点に対して北朝鮮も14得点をあげている。しかし、平壌で開催された試合に限れば、日本は2分け2敗と、実はひとつも勝てていない。しかも、4戦すべてで無得点に終わっている。
平壌が日本の鬼門の地と化している理由は、直近の一戦を振り返ってもよくわかる。
アルベルト・ザッケローニ監督に率いられた日本は、11年11月、W杯ブラジル大会出場をかけたアジア3次予選の第5戦で平壌に乗り込んだ。しかし、ほぼ満員の5万人で埋まった金日成総合競技場で0-1と敗れている。
日本サッカー協会(JFA)が作成する事業報告書の11年度版では、冒頭部分の「日本代表関連事業」で22年ぶりに臨んだ平壌でのアウェイ戦に関する記述が見られる。
「国交のないDPRK(北朝鮮)での試合となったため、外務省や通産省等、関係省庁に多大なご協力をいただきながら準備を進めたが、準備段階から入国まで難問が多く、非常に難しいチーム運営となった。査証取得のために、入国者全員(50名)が指定された日時に在北京DPRK大使館へ出向き、取得に1時間弱を要した。また、平壌空港ではパスポートチェックに2時間、荷物検査に2時間、その後、すべての荷物を受け取るまで1時間かかり、チームが完全に入国するまでに約5時間を要した」(原文ママ、以下同じ)